[上海/北京 14日 ロイター] - 中国政府は14日、同国の大手インターネット企業に対し、独占禁止法に抵触する行為に関与しないよう警告、今後監視を強めていく方針を示した。

中国国家市場監督管理総局(SAMR)は14日、アリババ・グループ・ホールディング、騰訊控股(テンセント・ホールディングス)出資の閲文集団(チャイナ・リテラチュア)、および深セン豊巣(ハイブ・ボックス)について、独占禁止の観点から過去の案件を適切に報告しなかったとし、それぞれ50万元(約7万6000ドル)の罰金を科すと明らかにした。

SAMRは、アリババの銀泰商業(インタイム・リテール)を巡る案件やチャイナ・リテラチュアの新麗伝媒(ニュー・クラシックス・メディア)買収などを調査した結果、今回の措置を決定したと説明している。

また、SAMRは14日、ゲーム動画配信の「闘魚」と「虎牙」 の合併を巡り調査していることを公表した。

SAMRは、一部のセクターで市場の支配力強化につながったとみられる案件を調査すると表明。長期にわたるプロセスになり、多数の企業が調査の対象になるとの見通しを示した。

報道を受け、テンセントとアリババの香港上場株は午後に下落。アリババは2.6%安、テンセントは2.9%安で取引を終えた。

中国はハイテク大手の監視強化を打ち出している。過去数年にわたり独占で競争を阻害し、消費者のデータを誤用し権利を侵害するような強大な力を持ったことを問題視している。

先月にはインターネット企業による独占的行動阻止を目的とした規則の草案を発表した。

<初の罰金>

中国では2008年に独占禁止法が施行されたが、インターネット関連企業が、独占禁止法審査への適切な報告を怠ったとして、同法に基づいて罰金の支払いを命じられたのは今回が初めて。

SAMRは、インターネット業界は独占禁止法の対象外ではないと警告。すべての企業が法と規則に厳密に従い、公正な競争を維持するよう促した。

「今回の罰金は、インターネット部門に対する反独占監視の強化を意味する」と強調した。

同国では先月、アリババ傘下の金融会社アント・グループの上場が突然延期となった。当局は同社のオンライン融資事業を調査する意向を示している。

アリババは2014年にインタイム・リテールに6億9200万ドル投資し、17年には26億ドルで非上場化した。同社は中国で29の百貨店と17のショッピングモールを展開している。

チャイナ・リテラチュアは18年8月にニュー・クラシックス・メディアの全株式を取得した。

リフィニティブのデータによると、中国のハイテク業界では今月10日までの10年間で、合計8702件、総額5070億ドルの合併・買収(M&A)などが行われている。

清華大学の研究者Liu Xu氏は「インターネット業界は、過去12年間、反トラスト法審査の対象外となってきた。これが繁栄につながった面もあるが、無秩序な合併や事業拡大で混乱を生み出した面もある」と指摘。

「最もシンプルで、最も反論が少ないケースから着手していけば、反トラスト法を執行する用意があるというシグナルを最も手早く示すことができる」と述べた。

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