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二“人”六脚-保護犬イブと暮らして

記者は2018年末、1匹の保護犬を引き取った。保護犬と向き合う中年男の奮闘を通して、動物と人間との絆、命の大切さを考えたい。

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二“人”六脚-保護犬イブと暮らして

散歩道で淡い恋心を抱くイブ 見つめ合う2匹、会えなくなって1週間 予期せぬ結末

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「散歩はまだかなあ」と机の下で首を長くして待つイブ=福島県会津若松市で2019年9月11日午後8時43分、湯浅聖一撮影
「散歩はまだかなあ」と机の下で首を長くして待つイブ=福島県会津若松市で2019年9月11日午後8時43分、湯浅聖一撮影

 <連載5回目までのあらすじ>

 福島県白河市で飼い主から虐待を受け、ボランティアに保護されたイブ。2017年12月にわが家の一員となったが先住犬との相性が悪く、自宅での飼育を断念。翌年4月に私の単身赴任先だった同県会津若松市で一緒に暮らすことになった。まだ人間への警戒心が残っていたイブは逃げ出し、捕まえようとした私の両手首をかんだこともあった。また、フィラリア感染症を発症していることが発覚。投薬生活を続けている間、熱中症や他の犬に襲われて傷を負うなどの困難もあったが、約2年後には完治した。しかし、フィラリア症に伴う心臓疾患の後遺症は残った。

旺盛だった食欲が減退 

 イブは毎日朝夕のご飯が何よりの楽しみだ。しかし、まだ残暑が厳しい2019年9月、気がかりな異変が見え始めた。

 いつもドッグフードをきれいに平らげるほど旺盛だった食欲が落ちてきたのだ。最初は少量だけ残していたのが次第に半分くらいになり、数日後には少し口をつけただけで横になってしまった。

 この年の夏は、猛暑による熱中症に悩まされた前年とは打って変わり、7月まで涼しかった。そのため大過なく乗り越えられた。それでも私は夏バテしたのかと思い、食べやすいように鶏肉のささみをゆでた汁をかけて与えたが、完食したのは1回だけで、再び食べなくなった。

 同じ頃、私の母が病気で倒れた。5日間の休みを取り、奈良県の実家に帰ることになった。イブは福島県西郷(にしごう)村の自宅で面倒を見てもらった。環境が変われば食欲も出るかと思ったが、妻から届く無料通信アプリ「LINE(ライン)」のメッセージは「あまり食欲はないようです」だった。

おやつは食べるので偏食か?

 一方で、ジャーキーやビスケットなどのおやつはしっかり食べた。妻は「単なる偏食ではないか」と言う。栄養が偏るのでおやつだけというわけにもいかない。

 ドッグフードを全く食べない日が3~4日続くと、さすがに「餓死するのではないか」と心配になった。

 動物病院にも相談した。

 動物看護師は「ウエットフードを混ぜてあげれば…

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