この連載について
製造業の凋落が叫ばれて久しい。かつて栄華を誇った家電メーカーや半導体メーカーは競争力を失った。しかし、日本のものづくりは死んでいない。これからの勝ち筋を、「装置」と「素材」を手がける企業に見いだせるのではないか。NewsPicksが日本の黒子企業たちに強さの秘訣を聞いた。
この記事の著者 / 編集者
この記事に関連するユーザー
関連する企業
業績
シェア
新規登録またはログインすると
チャートを見ることができます
新規登録する
ログインはこちら
Samsung Electronics Co Ltd is a diversified electronics conglomerate that manufactures and sells a wide range of products, including smartphones, semiconductor chips, printers, home appliances, medical equipment, and telecom network equipment.
業績
シェア
新規登録またはログインすると
チャートを見ることができます
新規登録する
ログインはこちら
業績
シェア
新規登録またはログインすると
チャートを見ることができます
新規登録する
ログインはこちら
Intel is a leading digital chipmaker, focused on the design and manufacturing of microprocessors for the global personal computer and data center markets.
業種
半導体(ロジック)
時価総額
25.6 兆円
業績
シェア
新規登録またはログインすると
チャートを見ることができます
新規登録する
ログインはこちら
これは、私自身が自問自答してきた生涯テーマのようなことでもあります。
今回の取材ほど、その答えが明確になった日がありません。
タワマンのお隣にあるコテコテの製造業というコントラストが、なんとも素敵な(?)東京応化工業ですが、
1100億円強の売上高に対して、年間の設備投資額は平均100億円、研究開発費も年々伸びて100億円に迫る勢い。設備や研究開発に投じる金額が売上高の2割近いことは、化学業界でもトップ水準です(あの日産化学よりも上)。
こうして思い浮かんだことは、「大海のクジラよりも、池のコイたれ」。
フォトレジストは半導体の製造において超・クリティカルな素材にもかかわらず、推定1500億~1800億円のニッチ市場。東京応化工業という企業全体が手がける市場も、せいぜい現時点では4000億~5000億円でないでしょうか。
この限られた規模に対して、設備と研究開発に毎年200億円を投入し続けている企業があるかというと、少ないと思います。これが意味することは、クジラの図体がコイのそれよりもはるかに大きくても、大海のクジラよりも、池という限られたサイズのスペースで悠々と泳ぐコイこそが日本企業が歩むべき道。
こうしたニッチトップの企業は、素材産業と、工作機械やロボットのような装置産業に数多く存在します。
NP読者の皆さまのニーズがあれば、2021年は日本が誇る「コテコテものづくり企業」をもっともっと深掘りしていきたいと思う次第です。
①実際の装置での条件出し
それにしても開発費や装置への設備投資額には驚きました。
つまり顧客である半導体製造メーカーと少なくとも同じ装置で条件出ししなくては良い材料は開発出来ない、ということの裏返しでもある。同じ装置を買うと言っても半導体関連装置は全く安くない。
また、半導体の装着の条件出しにはコストがかかるし、一度、条件が決まれば、後はひたすらに作り続けるため、なかなか材料切り替えのタイミングは無い。つまり、参入のチャンスがかーなーり少ない。もし他社に切替えられてしまったらしばらくの間、取り戻すことがかなり困難ということでもある。材料屋さんが本来買うような装置でなくとも、装着を買ってでも合わせ込みする価値はある、ということになる。
②クリーン環境での製造
TOKの競合にあたるJSRのHPからの引用だが、半導体用のフォトレジストは、クラス100,000のクリーンルーム内で、自動ラインと厳密に規定された作業標準に沿って調製タンクに原料を投入した後に溶解・調製され、クラス10,000のクリーンルームで循環濾過された後、クラス100の充填設備内で容器に充填される。容器に使用されるガラスボトルは、ゴミや金属イオンを極限まで取り除いた超純水で洗浄された後に、クリーンベンチに搬入される。
これは半導体工程に高いクリーン度が求められるから。なかなかこの高いクリーン度に対応した工程を持つ樹脂屋さんは存在しないだろう。参入障壁は相当高いと言える。いくら大手でも、半端な気持ちでこの工程は用意できない。
日本の自動車産業がその典型でインテグラル型とも言われています。
ただ、自動車も家電化が進んで「組み合わせ」すなわちモジュラー型に近づくと、日本の電機メーカーのように競争が激化し、優位性を維持できなくなりやしないかと心配です。
とはいえ、これは他者に真似できない、ということが必須要件であり、満たすのは簡単ではありません。
理系離れが激しい日本。ビジネスで世界に追いつこうとするあまり、フリップサイドでオンリーワンを手放してしまっては元も子もない。あくまでも両輪の強化が必要。
なお、素材産業の強みがよくメディア記事に踊っていますが、それも高度成長期以降の日本がエレクトロニクス産業と自動車産業のグローバルリーダーであったことと無縁ではありません。今後も素材産業での強みを継続するには、教育改革とグローバルリーダーとなる産業創出が不可欠であると思います。
ニッチトップ企業は企業で、強みを維持しながらも顧客依存にならないようにポートフォリオをうまく組みかえていくこと、世界のルールを作る側に回ることなど、常にゲームを展開していくことが求められるには変わりない。あと、ニッチトップの企業は歴史の長い会社が多いように思いますが、若い会社でもでてきているのでしょうか。
素材や装置、化学業界のニュースや特集は、ぜひ増やしてほしいです。
TOKストーリーから、環境適応能力の高い企業が、真に強い企業だということがよくわかります。見習うべき点が多い。
自分が住んでたところは、不二サッシの工場跡地でしたし、駅前のグランツリーあたりは東京機械の工場でした
幼き日、川崎市立の小学校に通っていましたが、「わがまち川崎」的な冊子が残っていて、武蔵小杉の空撮写真があり、「工場地帯」として紹介されてましたので本当に隔世の感があります
記事でもあるとおり、南武線はブルーカラー路線と言われてましてが、武蔵小杉と川崎駅周辺の再開発で大きくイメージが変わりました
日本の半導体産業の大部分が特にロジック・メモリでは世界的な競争からは脱落した一方、半導体材料と半導体製造装置は依然世界シェアで大きいものを多く有する。
今日も、昨日のTELの記事でもすり合わせの話が出ている。もう少し具体的に話せば、精密制御・精密加工・素材・光学、そしてそれを組み合わせたエンジニアリングあたりがキーの技術。日本は戦後、重工業化、そしてそのあと半導体など電子・情報領域を強化した(1991年のものだがNHKの「電子立国」という特集は本などもあり、興味がある方はお勧め)。半導体が成長するタイミングで日本が強く、その過程で装置・材料メーカーと同じ国・言語で進めることでスピードも速かった。これは前述の多様な製造業の要素技術が日本にあったから成立した。TELも最初は装置の輸入業者だったのが、日本の半導体メーカーにメーカーとして「育てられた」側面もあり、半導体材料も同様。
そして育てられ、基盤技術が熟成し、差が十分広がったところで、韓国や台湾が台頭した。これらの国では差が広がった後だったので、装置・材料メーカーが十分には育っていない。なぜなら差が大き過ぎて、育てる間に自分たちが負けるから(それでもずっと育てようとしている)。米国は一部の装置メーカーが依然トップ、90年代以降の唯一の大逆転といえるレベルのケースは露光装置のオランダASML(昔はニコン・キヤノンの独壇場)だと思う。そして残ったメーカーは、各領域でグローバル展開、グローバルシェアを握るに至る。
なお、TELで出てきた「パーティクル」(本来入っているべきでない物質)やどれくらいの精緻さの制御が必要かというと、レジストは東京応化によると50メートルのオリンピックプールにコーヒー1滴の不純物も入らないレベルが求められる。
半導体を作るプロセスは、様々な化学反応を起こすので、その工程間での洗浄も重要(ここは装置でいうとSCREENという日本企業が強い)。材料も装置も、こういう制御が求められる世界。
そして実際のプロセス条件を自社で研究するためにも、露光装置などをこれらメーカーも買う。EUVステッパー(露光装置)は100億円くらいすると思うが、売上1000億円の企業にとって極めて大きい投資。財務諸表みると2014年度にBSで装置が130億円くらい増加しているので、東京応化は多分ここで買っている。
フォトレジストはグローバルシェアトップが東京応化で、以下、JSR、信越化学までの3社がトップグループ、その次に住友化学と富士フイルムがいて、この上位5社で9割とも言われるシェアを有しており、まさに日本企業の独壇場です。
しかし、東京応化以外は日本を代表する化学メーカーですし、必ずしも規模が小さいから良いというわけではなく、単純にこの製品に求められるものが日本企業の強みと合致しているということと解釈しています。
そういう観点では、日本企業の勝ち筋を探るという本特集のテーマとしては最も相応しいものだと思います。
ちなみに、東京応化の統合レポートは、かなりわかりやすく内容も充実していますので、この業界のことをさらに知りたいという方には一見の価値があることをお伝えしておきます。
https://www.tok.co.jp/sp/ir/library/annual
---------------------------------------------------
現在ニッチトップというポジションを獲得した日本企業がサステナブルに勝ち続けるためには、巨大テクノロジー企業が事業拡大する中で、需要が拡大するだろう分野を見極めて(例:クラウド⇒エッジへのシフトはいつ起こる?)、先行投資をしていく、というのが勝ち筋かと思いました。
IT・インターネット領域で米中企業の覇権を覆すことはもはや難しい。半導体製造装置メーカーという立場上、エンドユーザーのニーズを自ら掘り起こすことは出来ない。だからこそ、世の中の変化を先んじて見極めることが求められるのではないか。そして、その為には、リスクを取った投資とそれを許容出来る資金力・企業文化も必要だと感じました。
インテルがモバイルの波に乗り遅れた様なイノベーションのジレンマを避けるためには、既存の強い分野からの刈り取りと並行して、違う分野も耕しに行かなければならない。
https://newspicks.com/news/5455980?ref=user_1400096