住宅街での「日本初」ロボット走行実験、パナが目指す配送サービスの在り方とはモビリティサービス(1/2 ページ)

パナソニックは2020年11月25日から同年12月24日にかけて、小型自動走行ロボットを用いた住宅街向け配送サービスの実現に向けた実証実験を「Fujisawa サスティナブル・スマートタウン」で実施中だ。自動走行ロボットによる走行実験を実際の住宅街内で行うのは「日本初」(パナソニック)。

» 2020年12月11日 14時00分 公開
[池谷翼MONOist]

 パナソニックは2020年11月25日から同年12月24日にかけて、小型自動走行ロボットを用いた住宅街向け配送サービスの実現に向けて、「Fujisawa サスティナブル・スマートタウン」(以下、Fujisawa SST、神奈川県藤沢市)で実証実験を実施中だ。自動走行ロボットによる走行実験を実際の住宅街内で行うのは、「日本初」(パナソニック)だという。

パナソニックが開発した自動走行ロボット[クリックして拡大]

実証実験は2段階に分けて実施

 実証実験では、自動走行ロボットによるFujisawa SST内での自動配送サービス実現に向けた数々の検証と、課題の洗い出しを行う。

パナソニックの小原英夫氏

 「自動走行ロボットによる配送サービス」の実現を目指す意図について、パナソニック テクノロジー本部兼マニュファクチュアリングイノベーション本部 本部長の小原英夫氏は「当社はこれまでモビリティ分野において、屋内多目的ロボット『HOSPI』や追従型ロボティックモビリティ『PiiMo(ピーモ)』の他、本社の敷地内限定だが自動運転ライドシェアの開発などに取り組んできた。ただ、それらの取り組みはハードウェア開発を中心としたものだった。モビリティ分野を事業として拡大するには、ハードウェアを有効に活用するサービスの存在が重要になる。その点で配送サービスは最適だ。サービスを通じて取得したさまざまなデータから、新しいビジネスが生まれる可能性もある」と説明する。

 実験はフェーズ1とフェーズ2の2段階に分けて実施する。2020年11月25日から同年12月24日にかけて行うフェーズ1では、Fujisawa SSTの一定区画内にある車道や歩道、横断歩道などを実際にロボットが走行して、走行技術の検証や、安全性に関する課題の洗い出しを行う。なお、公道での自動走行実験にあたり、国土交通省による道路運送車両に関する保安基準の緩和措置を受けるとともに、藤沢警察署から道路使用許可を取得した。

横断歩道をわたり(左)、住宅街の中も走行する(右)[クリックして拡大]

 フェーズ2ではロボットを用いた配送サービスを限定的に実施して、Fujisawa SSTの住民や店舗関係者からの受容性を検証する。現段階で、具体的なサービス内容は未定だが、小原氏は「自宅からスマートフォンで飲食物をオーダーして、注文を受け取った店舗が商品を用意しておく。すると、ロボットが店舗にやってきて商品を受け取り、自宅まで配送する。非対面、非接触の配送サービスが実現できるだろう」と例を挙げて説明した。配送する商品は、コーヒーの紙容器のようなサイズ感の飲食物を想定する。実施期間は2021年2〜3月頃を見込むが、現時点でフェーズ2実施に必要な道路使用許可は関連省庁から得ていない。

機体側面にあるドアから配送物の積み下ろしができる[クリックして拡大]
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