(ブルームバーグ): 米アップルは自社製品に搭載するセルラーモデムの開発に着手した。事情に詳しい関係者によれば、同社の半導体責任者が従業員とのタウンホールミーティングで10日明らかにした。

ハードウエア技術担当上級副社長のジョニー・スルージ氏は、アップル「初の内蔵セルラーモデム開発を今年始めた。今後の重要な戦略的移行を可能にするものだ」と述べ、「こうした長期的な戦略的投資は製品を支援し、将来に向けた革新的テクノロジーの準備を厚くすることを確実にする極めて重要な部分だ」と指摘した。

セルラーモデムはスマートフォンで使われる最も重要な部品の1つで、アップルは現在、米クアルコムから供給を受けている。クアルコムの株価は時間外取引で一時6.3%安となった。

スルージ氏によれば、2019年に10億ドルで買収した米インテルのモデム事業が、アップル独自のセルラーモデム開発を進めるハードウエア・ソフトウエア担当チームの編成に寄与した。

第5世代(5G)移動通信ネットワーク対応の最新「iPhone(アイフォーン)」はクアルコム製のセルラーモデルを使用。それ以前の数年間、アップルはインテル製品を使っていた。

同氏は自社開発のセルラーモデムを製品に搭載する準備ができる時期には言及しなかったが、アップルとクアルコムが19年に交わした特許合意には6年間のライセンス契約が含まれている。クアルコムは保有する無線特許に基づき、電話メーカーによるクアルコム製半導体利用の有無にかかわらず電話メーカー側にライセンス料を課す。

原題:Apple Starts Work on Its Own Cellular Modem, Chip Chief Says (1)(抜粋)

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