[ワシントン 9日 ロイター] - 米国の新型コロナウイルス感染による1日当たり死者は9日、3250人を突破し、過去最多を更新した。一方、米食品医薬品局(FDA)は、10日に米ファイザーと独ビオンテックが共同開発した新型コロナワクチンに関する諮問委員会を開き、数日以内に緊急使用が承認される見通し。

トランプ政権のワクチン開発計画「ワープ・スピード作戦」の責任者を務めるモンセフ・スラウイ氏によると、FDAは早ければ12日までに承認し、ワクチン接種は13日か14日に始まる可能性がある。

ロイターの集計によると、過去1週間の米国のコロナ感染者の1日当たり平均は20万5661人、死者は2259人となっている。

9日に死亡した人は少なくとも3253人と、1日の死者数としては12月3日に記録した過去最多の2861人を更新し、初めて3000人を突破した。

厚生省のデータによると、全米の都市や地方の数百の病院で集中治療室(ICU)が既に満床に達しているか、満床に近づきつつある。

ロイターの分析によると、カリフォルニア州の地方を中心とする10の郡では、9日時点でICUの空床がゼロ。フレズノ郡では空床が7床となっており、サンホアキン郡では空床がわずか5床にすぎない。

コロナに感染して入院している人の数は、9日夜時点で全米で10万6217人と過去最多。この2週間でおよそ18%増加した。

アザー厚生長官はCNNとのインタビューで、バイデン次期米大統領の政権移行チームと会合したことを明らかにし、「完全かつ協力的、プロとしての政権移行を確実にする」と言明。「米国民を守る上で失策がないよう必要なことを全て行う」と語った。

累計の死者が29万人に迫る中、政府の追加救済策実施が現実味を帯びてきた。

トランプ政権は前日、9160億ドル規模の新たな新型コロナ救済法案を提示。同案には民主党が求める州・地方自治体への支援金と共和党が求める企業の賠償免責が含まれるという。しかし、民主党指導部は不十分な内容として拒否している。

共和党上院トップのマコネル院内総務は記者団に対し、議員らが引き続き「合意に向けた道筋を模索している」と明らかにした。

さらに、政権の提案を拒否した民主党のペロシ下院議長やシューマー上院院内総務が「ことあるごとに協議を遅らせ、決定を覆してきた」と上院議場で批判し、「国民は一段の支援を必要としている」と訴えた。

*内容を追加しました。