2021/1/10

【鈴木啓太】元日本代表が「うんち、ちょうだい」と奔走する理由

NewsPicks エディター
元サッカー日本代表の鈴木啓太氏が立ち上げた、アスリートの腸内細菌を研究するバイオベンチャー「AuB」が企業から熱視線を浴びている。
2019年9月には、大正製薬と三菱UFJキャピタル、個人投資家から総額約3億円の資金調達に成功。2020には、読売ジャイアンツとの選手の栄養サポート分野での取り組み、京セラらとの共同研究をスタートさせている。
サッカー界からビジネスの世界に飛び込み、創業から5年。ゼロから切り開いてきた道のりを支えた、その熱源とは。(全7回)
鈴木啓太(すずき・けいた)/AuB 代表、元サッカー日本代表
1981年7月静岡県生まれ。東海大翔洋高校卒業後、2000年にJリーグの浦和レッドダイヤモンズに加入。2009年からの3年間キャプテンを務め、2016年1月の現役引退まで所属する。2006年に日本代表に初選出され、イビチャ・オシム監督体制下では全試合に先発出場。2015年10月にアスリートの腸を研究するAuB(オーブ)を設立し、現役引退後に代表取締役に就任した。現在は同社で、腸内細菌解析事業やコンディショニングサポート事業、バイオマーカー開発事業、腸内細菌関連製品の開発事業を手掛けている。

茶色いダイヤ

「うんち、ちょうだい」
食事の席で、私が唐突にそんなことを言い出したので、ラグビー日本代表の松島幸太朗君が、呆気にとられたような顔をしています。
「何を言っているんですか?」
「将来のためだから。アスリートのためになるから」
引き気味の幸太朗に対して、僕は年上という立場を生かし、半ば強制的に押し切りました。ありがたいことに、彼が“茶色いダイヤ”の初めての提供者になってくれました。