[シンガポール 4日 ロイター] - シンガポールの配車サービス大手グラブのアンソニー・タン最高経営責任者(CEO)は、インドネシアのライバル、ゴジェックとの合併交渉が進展したとの報道を受け、グラブが十分買収できる状態にあると社員に説明した。

ブルームバーグ通信は、グラブとゴジェックの合併交渉がかなり進展したと報道。統合会社のトップにはグラブのタンCEOが就き、ゴジェックの幹部らは、統合したインドネシア事業を「ゴジェック」ブランドで運営するとしている。

タン氏は社員へのメッセージで「ゴジェックとの取引の話が再び取り沙汰されている。当社の事業のモメンタムは良好だ。市場で統合のうわさがあるが、われわれは買う立場にある」と述べた。また事業は新型コロナウイルスのパンデミック前のレベルに完全に戻ったと説明した。

一方、ゴジェックの共同CEOのケビン・アルウィ氏とアンドレ・ソエリスティオ氏は社員に向けたメッセージで、自社が「複数の市場で強いプレゼンスを持つインドネシア最大のハイテク企業」だと強調し「当社の投資家リストは、世界のIPO(新規株式公開)前の企業の垂涎の的だ。グーグル、テンセント、フェイスブック、ペイパルなど多くの企業が支援してくれている」と述べた。

事情に詳しい複数の関係筋はロイターに、両社の大株主が数年前から統合を支持していると述べた。グラブにはソフトバンクグループが出資している。

グラブは、タン氏の社員向けメッセージや報道についてコメントを差し控えた。ゴジェックもトップのメッセージや合併の可能性についてコメントを拒否した。

アナリストからは、たとえ両社が統合で合意しても、独禁当局が待ったをかける可能性があるとの声がでている。

分析会社グローバルデルタは「事業の規模やシェアから、両社の統合に独禁当局は懸念を示すだろう」と述べた。