[ムンバイ 4日 ロイター] - インド準備銀行(中央銀行)は4日、市場の予想通り、政策金利のレポレートを4%に据え置いた。インフレが高止まりしていることが背景。ただ、景気の持ち直しを維持するため、厳しい環境に置かれているセクターには潤沢な流動性を供給する方針を示した。

中銀のシャクティカンタ・ダス総裁はオンライン形式のブリーフィングで、金融政策委員会は持続的な景気回復を支援するため、少なくとも今年度と来年度に緩和スタンスを維持することを決定したとした。

総裁は、新型コロナウイルス流行に伴う景気低迷から予想より早く回復している、とする一方で、回復の兆候は広範囲には及んでいないとも指摘した。

総裁によると、金利据え置きと緩和スタンス維持の決定は全会一致。中銀はリバースレポレートも3.35%に据え置いた。

インド株式市場は決定を受けて一段高となり最高値を更新。ルピーは小幅上昇し1ドル=73.76ルピー。10年債利回りは3ベーシスポイント(bp)低下し5.90%となった。

<流動性支援策>

ダス総裁は、難局にあるセクター向けの資金調達支援策を発表。潤沢な流動性が成長の勢いを支援するよう、必要に応じて今後も一段の措置を講じる構えを示した。

モティラル・オズワル・プライベート・ウェルス・マネジメントの投資責任者、アシシュ・シャンカー氏は「緩和的な流動性スタンスにより、流動性へのアクセスが困難ではなくなり、景気回復も勢いを増すだろう」と指摘。「今回示されたガイダンスは、成長や資金フローについて、以前よりも上向きになっている」との見方を示した。

<インフレを警戒>

ダス総裁は「金融政策委は、生鮮食品の価格が冬季に一時的に落ち着くといったことがなければ、インフレ率は高水準で推移する可能性が高いとみている」とし「これが金融政策の制約となり、成長を支援するために行動する余地の活用を妨げている」と述べた。

総裁は「インフレ・ターゲティングが最重要課題」と説明。中銀は、今10─12月のインフレ率が6.8%で来年1─3月は5.8%にやや減速すると予想した。10月時点では、今年度下期(20年10月─21年3月)のインフレ率を5.4─4.5%と予想していた。

エララ・キャピタルのエコノミストは、景気回復の兆しと、当面インフレが高止まる公算から追加利下げの可能性は低いとみている。

中銀は新型コロナウイルス危機への対応で、3月下旬以降レポレートを計115ベーシスポイント(bp)引き下げている。

しかし、インフレは3月を除いて中銀の目標(2─6%)を上回り続けている。

パトラ副総裁は「供給側の管理がタイムリーで効果的なら、インフレの軌道は完全に変わるだろう」と述べ、インフレ予想は現在の状況を踏まえたものだと説明した。

7─9月期の国内総生産(GDP)は前年同期比7.5%減。4─6月期の23.9%減から落ち込みが和らいだ。

ダス総裁は、コロナワクチン開発の進展でインドの見通しも改善したと述べた。金融政策委員会は今年度の実質GDP予想を9.5%減から7.5%減に修正した。

11月に実施したロイター調査では、インド経済が来年早々に景気後退を抜け出しそうだが、コロナ前への回復には時間を要するとみられている。

*内容を追加しました。