香港紙創業者の黎氏も収監 周庭氏は上訴を申請

 【台北=矢板明夫】香港の大手紙、蘋果(ひんか)日報の創業者、黎智英(ジミー・ライ)氏(71)は2日、警察に出頭した後、詐欺罪で起訴された。西九竜裁判所は3日、「逃亡の恐れがある」として黎氏の保釈申請を却下、黎氏は収監された。香港メディアは、次回の審理が行われる来年4月まで勾留される可能性が高いと伝えている。

 黎氏は香港メディア界を代表する経営者の一人で、民主化運動を応援し、一党独裁の中国共産党政権を批判する論客としても知られる。今年8月、「外国勢力と共謀して国家の安全を脅かした」として香港国家安全維持法(国安法)違反の疑いで逮捕されたが、その後、保釈された。

 保釈条件に従い、2日に警察に出頭した黎氏は、自身が創業したメディア集団の事務所を「別の関係会社が不正使用していた」などとして別件の詐欺罪で起訴された。同集団幹部2人も起訴されたが、2人は保釈が認められた。

 報道によると、2日に禁錮10月の実刑判決を受けた民主活動家の周庭(アグネス・チョウ)氏(24)は香港高裁に上訴を申請。高裁は9日、上訴と保釈の可否を審理するという。

 一方、立法会(議会)議員を辞職したばかりの民主党の許智峯氏が3日、亡命することを明らかにした。欧州に渡航中だった。

会員限定記事会員サービス詳細