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「黒字倒産」という言葉があります。
財務諸表上の損益計算書は黒字なのに手持ちキャッシュ(現金)がなくなり、給与や仕入れ代金が払えなくなり、倒産する事です。

例えばメーカーでは、製品が売れずに在庫を大量に持つと、こういう「(一部の)財務諸表はOKなのに倒産」のケースが出て来ます。
従業員に給与を払いたければ、キャッシュフフロー(現金)を見ないと話になりません。
会計上のコメントは皆さんご指摘の通りですが、本質的な点では「社員を大事にする」というスタンス自体は大事だと思います。
景気が悪くなると必ずこの手の主張が出てくる。野党もそうですけどね。

筆者の主張をまとめると・・売上が減少してPLが悪化するが企業は賃下げを行なわずにその分を「内部留保」で補え。つまりこういうことです。

おさらいですが内部留保とは貸借対照表(BS)の貸方において企業の調達資金のうち負債や株主資本ではなく自己の利益によって調達した「計算上の数字」のこと。たんにBS上での企業のお金の調達方法を意味する表現に過ぎません。内部留保が豊かであるからといって『使い道のない現金または現金等価物を溜め込んでいる』というわけではありません。

これを理解するために企業が「現金」をどうやって手に入れるかを考えてみましょう。なぜならばお給料を払い続けるには現ナマ=「現金」が必要だからです。 

・売上を増やしてコストを減らす
・銀行から借金をする
・増資をして株主から資金を集める

この三つしか手段はありません。

いちばん最初の方法はコロナ禍での売上減少と人件費削減ですから筆者のそもそもの命題に反しますがまあ常道といっていいでしょう。残り二つも賃金維持目的としての妥当性=実現可能性は別として有り得ます。

どこにも「内部留保」なんて出てこないでしょう?「内部留保」とは資金調達(とその使途)の結果=株主への配当可能性を表すものであって賃金原資などの現金を得る手段ではないからです。つまり内部留保を減らして現金を調達することはできないのです。

もっとも「賃金維持をして企業が赤字になれば結果的に利益剰余金がマイナスになってそのぶん内部留保が減る」という可能性はあります。筆者がそれを主張しているのであればそれは不可能ではないでしょうけど(←もちろんこれは皮肉です)。

これは「結果としてそうなる」ということであってその逆は真とはなりません。「内部留保を使って現金を作る」ということではないのです。繰り返しますがお給料を払うにはまず最初に「現金」が必要なんですから。