2020/12/3

【幹部直撃】エヌビディアの本質は、「半導体」にはない

NewsPicks編集部 記者
「我々は、AI時代の最高峰となるコンピューティング企業を作る」
米NVIDIA(エヌビディア)の創業者ジェンスン・フアンの野望は、世界トップクラスの半導体企業の「先」にある。
エヌビディアといえば、ゲームやAI用のチップ(GPU)を強みとする世界有数の半導体メーカーとして知られている。34兆円の時価総額は、半導体産業では台湾のTSMCに次ぎ、世界2位の規模を誇る。
しかしエヌビディアの本質は、実は半導体にはない。
半導体というハードに加えてソフトウェアも併せて提供することで、AI分析などに必要な技術を「パッケージ」で提供しようとしているのだ。
例えば、それは自動運転の分野で顕著に表れている。
エヌビディアのフアン氏(写真:Ethan Miller/Getty Images)
今年6月、独メルセデス・ベンツとの協業を発表し、2024年に市場投入する車種にエヌビディア製チップとソフトウェアが搭載されることが決まった。
もはや単なる半導体メーカーではなく、AI時代のプラットフォーマーの地位を狙っているのだ。
一方で、2019年にはテスラが半導体の内製を発表し、「客観的に見て、世界一の半導体を作った」として従来のエヌビディア製から切り替えるという動きもあった。
ハードとソフトの融合がより重要になる中で、ハード(半導体)を自前で作る動きが広がっているのも事実だ。
自動車の世界で巻き起こる、親エヌビディアと脱エヌビディア。
今後の展望について、エヌビディアの車載事業を管轄するダニー・シャピーロ氏に聞いた。

 テスラには「規模」がない

──2019年4月、テスラが自動運転用の半導体を内製に切り替えると発表しました。発表を聞いて、どう思いましたか。