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国産の集成材はこれまでもあったのだけど、より国産材との相性もよくて構造壁などへの応用が行いやすいCLTはもっと戦略的なPRがなされていい。単純な利潤追求だけでなくて荒廃する里山の維持というもう一つの価値も反映されている商材だから、単体でのコストだけで選択の対象にならないよう、CLT材利用プロジェクトへの輸送コストや税制優遇、容積率や用途制限の緩和などの柔軟な施作も、もっと考えられないのかなと。
記事にあるような民間の技術開発はもちろんだけど、人件費や生産規模の面で国際競争力が保てない林業の現場を丁寧に見て、実は現場に細かく残っているロングテール化してしまった加工設備や人材を、より大きな流通とシェアの仕組みに巻き込んで、デザインや観光、教育などの業態と接続する動きなども期待したいところ。
木材はこれまで構造の限界と火災の耐性の限界がありましたが、近年の技術革新で日本橋では高さ70mの木造の高層タワーも実現できる段階まで来ています。
この高層タワーには竹中工務店の燃エンウッドという新しい技術が使われていて、火災の際に炭化して遮熱層を形成する「燃え代層」、そしてその内側にモルタルと石こうで火災の熱を吸収する「燃え止まり層」を設けることにより、中心の荷重を支持している柱を守るという技術です。
https://www.takenaka.co.jp/solution/needs/design/service20/index.html
CLTは軽くて強度が強いだけでなく、これまで木材として使えなかった細い木が使えたり、柱や梁だけでなく、面の構造材にもなり得るのがメリットです。また、部材を工場で予め作れるので工期の短縮にも繋がります。
ただ、どの木材もやはりコストが一番の足枷になっていて、今後更なる技術革新とマーケットの拡大でコストが下がることが期待されています。
そういった背景でこの様に平岩さんの様な諦めない技術者こそがその革新を進めていることにも注意です。
ただ、日本の林業が衰退した要因の一つは、世論と報道が森林地主に過剰な圧力をかけて過伐採してしまったことでもあります。森林は伐採できるまでに40-50年かかるのですが、当時は戦後の住宅不足。「森林地主が自身の利益のために伐採量を減らしている!」との報道に押されて、森林自体の生態系や林業の持続的経営を無視した過伐採を招いてしまい、さらにRCや外国産材のダブルパンチもあり、林業は維持管理できない経営破綻状態になってしまっています。
林業の衰退を嘆くのであれば、その要因の一つでもある「専門家軽視の加熱報道」を防ぐ術も考えたいところ。
参考:https://crossacross.org/ky/Past+present+and+future+of+forestry
国産材の価格はこの30年くらいで暴落、戦後の植林政策で今や立派に育っている木材は、伐採しても売値が低すぎて赤字になるので、伐採されずにそのままです。
木材は、年数が経ちすぎても良くないのでここ10年くらいが難しい局面。今の環境だと、林業単独で事業として続けるのも難しい。
その中、CLTは希望のある技術だと理解してます。コストダウンも使用量の影響が大きいので、全国の公共施設を皮切りに、多くの建築物で利用されることを期待します。
木造ビル、普及を図るデベの本気度
https://project.nikkeibp.co.jp/mirakoto/atcl/city/h_vol53/
地震に対しての構造の安全性を確立すべく、また、他国と比較して狭い国土のさらに狭い一点に都市集中化がされているが故の火災対策の難しさを技術革新でクリアすべく、あえて戸建ではなく木造の高層ビルへの挑戦が行われています。
ちなみに、CLT使用に関わる助成制度も、すでにいくつか存在します。
令和2年度 CLT公的助成制度
https://www.google.com/url?sa=t&source=web&rct=j&url=http://clta.jp/wp-content/uploads/2020/11/67efb9f4414b33642788ed127284ae4b.pdf&ved=2ahUKEwiGxJu8k6_tAhUHH3AKHe3yBzIQFjAAegQIARAB&usg=AOvVaw3Pt7DbsIlPIEVIcicxsxvR
それでも、CLT素材の普及はなかなか進んでおらず‥。
CO2排出量の「抑制」ではなく「ゼロ」を目指す昨今の環境保護の潮流は、不動産・建設業界全体にも遅かれ早かれ訪れると思われるため、官民一体となり、まずは公共施設から、建替え・リニューアルの場合にCLTの使用率を一定以上とすることなどを義務化すれば、普及の後押しとなるやも‥。
やはり日本の木材が日本の気候には合っていると思うので、快適に過ごせるのだと思います。