[北京 30日 ロイター] - 中国国家統計局が発表した11月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は52.1で、10月の51.4から上昇し、2017年9月以来約3年ぶりの高水準となった。中国が新型コロナウイルス危機から完全な経済復興を果たす最初の主要経済国となるのが確実な情勢だ。

11月製造業PMIは景況拡大と悪化の分岐点である50を引き続き上回った。市場予想の51.5も上回った。

中国の工業部門はコロナ禍で先送りされていた需要や景気支援策がけん引するインフラ増強、底堅い輸出によって着実な回復を続けている。ただ、主要な貿易相手国でのコロナ感染再拡大やロックダウン(封鎖措置)再導入が、中国の輸出品への需要を圧迫する可能性がある。

11月の新規輸出受注を示すサブ指数は51.5で、10月の51.0から上昇。

貿易統計や生産者物価指数(PPI)などの指標は工業部門の今後の回復継続を示す内容となっている。

小規模企業の動向を示すサブ指数は50.1となり、10月の49.4から改善した。

11月はアリババ・グループ・ホールディングが11日の「独身の日」に合わせて行う恒例のネット通販セールがあり、堅調な結果となったことから中小企業の景況感を押し上げた。

中国物流購買連合会(CFLP)のアナリスト、Zhang Liqun氏は「サブ指数の全般的な改善に伴う11月製造業PMIの上昇は、製造業部門の回復の勢いが一段と確かなものになったことを示している」と述べ、「ただ、企業が依然需要低迷に直面していることも示しており、内需拡大に向けた政策支援の強化が必要だ」との見方を示した。

また、国家統計局のZhao Qinghe氏は、前月と比較して為替変動の影響を指摘した企業が増えたとし、人民元高が続いていることで収益が圧迫され、輸出受注が落ち込んでいるとする企業もあったと説明した。

その上で、製造業部門の回復はまだら模様で、繊維業界のPMIは50を下回り、低迷していると指摘した。

11月の非製造業PMIは56.4と、10月は56.2から上昇した。2012年6月以来の高水準を記録し、9カ月連続で50を上回った。鉄道、航空、通信、衛星通信、金融サービスがそれぞれ好調だった。

建設活動の動向を示すサブ指数は、景気支援に向けた政府のインフラ事業を背景に、10月の59.8から60.6に上昇した。

製造業と非製造業を合わせた総合PMIは55.7で、10月の55.3から上昇した。