[ニューヨーク 27日 ロイター] - 米国で新型コロナウイルス感染拡大に歯止めがかからない中、入院している感染者数が27日、初めて9万人を超えた。入院患者数は過去1カ月で倍増し、病院の対応能力は逼迫。感謝祭の祝日で人の移動が増える中、状況悪化が懸念されている。

米運輸保安局(TSA)によると、感謝祭の前日に当たる25日の航空旅客数は107万人を超え、1日の利用数としては新型ウイルス感染拡大開始以降で最多となった。20日から25日までの航空旅客数は約600万人。ただ、前年の同時期と比べると半分以下だった。

本格的な冬を迎える前に感染拡大を抑制するため、米国では20を超える州で飲食店の収容人数制限など、何らかの対策が導入されている。

ニューメキシコ州のグリシャム知事は27日、「新型コロナの感染拡大を許せば、集中治療室(ICU)が満床となり、医療従事者が不足するという現実に直面する」とツイッターに投稿した。

同州では27日時点で新型コロナ患者880人が入院中。ロックダウン(都市封鎖)措置も実施されており、不要不急の事業は全て閉鎖。州民には外出自粛が勧告されている。カリー郡のある病院では今週、ICUが満床となった。

また、この日は年末商戦の幕開けとされる「ブラックフライデー」だが、知事らはオンライン購入やカーブサイドピックアップ(ネットで注文し店舗駐車場で商品を受け取る)を活用するよう呼び掛けた。

ケンタッキー州のベッシャー知事はツイッターで「今年のブラックフライデーでは人混みを避け、自宅で購入することを忘れないでほしい。地元の小売店にはカーブサイドピックアップという選択肢があり、われわれの支援を必要としている」と述べた。

全米小売業協会(NRF)のシャイ最高経営責任者(CEO)は27日、パンデミック(世界的大流行)が経済や雇用の打撃となり、財政的に苦境に立たされている米国人が多いにもかかわらず、今年の年末商戦の支出額は過去最高になる見込みと指摘。消費対象が旅行や娯楽などの「コト消費」から家庭用品など「モノ消費」にシフトしているとした。

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