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三井不動産は26日までに、東京ドームに対し、株式公開買い付け(TOB)を実施する方向で最終調整に入った。取締役会の賛同を前提とした友好的な買収となる。読売新聞グループ本社が一部出資する可能性もある。今日にも発表する。

複数の関係者が匿名を条件に明らかにした。東京ドームの時価総額は約860億円で、プレミアム(上乗せ幅)を加味すると1000億円規模の買収になる見通し。三井不は単独買収ではなく、読売新聞グループ本社との連携も検討している。

三井不が単独でTOBを実施して全株を取得後、一部を同グループに売却する案が出ている。同グループはプロ野球球団の読売巨人軍を保有しており、本拠地である東京ドームと球団経営を一体化させる狙いがある。

ブルームバーグの報道を受けて、三井不と東京ドームは27日午前、「本件については本日開催の当社取締役会に付議する予定であり、決定した場合は速やかに公表する」とのコメントをそれぞれ発表した。報道に対して読売新聞グループ本社広報部は「お答えできません」と電子メールで回答した。

東京ドームを巡っては、筆頭株主のヘッジファンドが長岡勤社長の解任を要求するなど対立が先鋭化していた。社長解任を要求しているのは、香港のヘッジファンド、オアシス・マネジメント。10月に長岡社長ら取締役3人の解任を議題とする臨時株主総会の開催を求める書簡を送付、対立が表面化した。ブルームバーグのデータによると、オアシスは同社株式の9.61%を保有する筆頭株主。

東京ドームがオアシスへの対抗策を模索するなかで、三井不が友好的買収者(ホワイトナイト)として名乗りを上げた格好だ。27日の東京ドームの株価は取引開始から買い気配のまま値がついていない。前日比17%高の1047円とストップ高まで気配値を切り上げた。三井不も一時、3.2%高の2332.5円まで上昇した。

東京ドーム側は10月19日の発表資料で「オアシスとの建設的な対話を拒んできたという認識はない」とコメントしていた。オアシス創業者で最高投資責任者(CIO)のセス・フィッシャー氏は同22日のインタビューで「われわれは一緒に会社を良くしたいと思いさまざまな提案をしているが、現経営陣が示した改善策は小規模な上に時間もかかり過ぎる」と批判していた。

東京ドームの臨時株主総会は12月17日に都内で開催される予定。

(読売新聞グループ本社のコメントや株価動向を追加します)

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