2020/11/27

【裏側】資金力、育成だけじゃないホークスの「仕組み化」

スポーツライター
なぜここまで強いのか。資金力か、選手の質か、采配か・・・。
福岡ソフトバンク・ホークスはパ・リーグを2位に14ゲーム差をつけて優勝すると、日本シリーズを4連勝。「圧倒」としか形容のしようがないほど強かった。
理由はひとつではないが、「育成」や「資金力」の差と表現してしまうのは早計だ。
育成の力は確かだが決して「安い投資」ではない。親会社の資金力は事実だが「頼っている」わけではない。
高い意識と目指す目標がもたらした「圧倒的なチームのリアル」とは。

“割安育成枠”“親会社の資金力”の誤解

「2軍を見ると、ソフトバンクの強さがわかります。1軍に上げてもおかしくない選手がたくさんいる」
日本シリーズ開幕の約10日前、あるプロ野球解説者がそう話した。11月7日に行われたファーム日本選手権に出場したソフトバンク2軍のメンバーを見ると、上林誠知や真砂勇介という1軍クラスに加え、2019年ドラフト1位の佐藤直樹や長距離砲として期待されるリチャードもいる。
とにかく選手層が分厚いのだ。
巨人に4連勝、V4を達成した今回の日本シリーズで特に注目されたのが、育成出身の面々だった。
エースの千賀滉大を筆頭に、今季の最多勝を分け合った石川柊太、強肩捕手の甲斐拓也、盗塁王の周東佑京、ユーティリティの牧原大成、キューバ出身の快速左腕リバン・モイネロも主力に成り上がっている。
3軍制を敷き、一芸に秀でた選手を獲得して切磋琢磨させる。近年のソフトバンクの強さは、そう理由づけられることが多い。
育成選手の年間最低参加報酬は240万円、支度金の標準額は300万円。1軍最低年俸保証額は1600万円、ドラフト指名の契約金上限は1億円であることと比べると、支配下登録されない育成選手はたしかに割安で獲得できる。
ただし、相応のコストは発生する。