(ブルームバーグ): 任天堂は家庭用ゲーム機「スイッチ」の委託生産先にシャープを加えた。新型コロナウイルス禍の旺盛な巣ごもり需要を受け、生産体制を強化するのが狙い。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。

任天堂は現在、スイッチの生産を主に台湾の鴻海精密工業に委託し、中国などで生産している。情報が非公開のため匿名を条件に語った複数の関係者によると、任天堂は鴻海傘下のシャープが持つマレーシア工場を生産拠点に追加した。シャープはこれまでもファミコンをはじめ任天堂ゲーム機の生産や主要部品の供給を行ってきた。

任天堂の古川俊太郎社長は5日の決算会見で、中国とベトナムに加え、今夏からマレーシアでスイッチの小規模生産を始めたことを明かし、間もなく店頭に並ぶ見込みだと発言。「年末商戦で販売計画を達成するために在庫の準備はできている」と話していた。

シャープの株価は26日、取引終了にかけて上昇傾向を強め、終値は前日比3.7%高の1462円と8日続伸。2月21日以来、9カ月ぶりの高値を付けた。同社は12月2日付で日経平均株価に採用される。任天堂も4.6%高の5万7710円と6日続伸。

関係者の1人によれば、任天堂は米中貿易摩擦の影響を避けスイッチの生産を安定化させるため、鴻海側に中国以外の生産拠点を提供するよう要請、鴻海は一部受注を余力のあるシャープに委託することになった。マレーシア工場での生産量は限られているという。

シャープの広報担当者はコメントを控えるとしている。一方、任天堂の広報担当者は、同社が発表した以外の詳細については確認できないとしている。

スイッチは新型コロナ禍での巣ごもり需要に加え、3月に発売した「あつまれどうぶつの森」人気も重なり、公式サイトなどで一時品切れ状態にあった。今期(2021年3月期)の販売目標2400万台に対し、4-9月で1253万台を販売している。

(シャープと任天堂の株価動向を追加します)

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