[ロンドン 20日 ロイター] - 英国の今会計年度当初7カ月(4─10月)の借り入れ額が2150億ポンド(2850億ドル)となり、過去最大となった。新しい支出計画を準備するスナク財務相にとって厳しい環境となっている。

英国立統計局(ONS)が発表した10月単月の公的部門借り入れは223億ポンドとエコノミスト予想(352億ポンド)を大幅に下回った。9月の借り入れも大幅に下方改定された。

ただ、経済に対する債務の割合は引き続き60年ぶり高水準をわずかに下回る水準にとどまった。

また10月の小売売上高は前月比1.2%増加した。前年同月比では5.8%増と市場予想(4.2%増)を上回る伸びとなった。

ONSは「各企業のフィードバックでは、今年は消費者によるクリスマスの買い物開始が早まっていることが示唆されている。幅広い店舗で早期に値下げがあったことがさらに後押しした」と指摘した。

しかし、小売業者の11月は厳しくなっている。新型コロナウイルス流行に伴う最近の制限措置により、多くの店舗が閉鎖したためだ。

英政府は新型コロナウイルスへの対応で歳出が膨らみ、今年度(2021年3月末まで)は4000億ポンド近く借り入れる計画。債務の対国内総生産(GDP)比率は第2次世界大戦以降で最高水準となる見込みとなっている。

予算責任局(OBR)は25日に新たな借り入れ見通しを公表。スナク財務相も次期会計年度の支出計画を公表する。

政府は既に、冷戦以降で最大となる軍事費の拡大を承認すると表明している。

ただ、各紙によると、スナク財務相は教師と警察の賃金を凍結する意向。また、対外支援支出をGDPの0.7%で維持することについて政府は確認しなかった。

4─10月の借り入れ額は2149億ポンドで、10月時点の公的債務残高は2兆0770億ポンドと対GDP比100.8%となった。

第3・四半期のGDPの伸びが好調だったため、債務比率は1960/61年以来の高水準だった9月の101.2%からわずかに低下した。

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