大阪知事、国際金融都市への挑戦表明 「デリバティブに特化」

 大阪府の吉村洋文知事は18日の記者会見で、大阪府市として国際金融都市の実現に挑戦する方針を表明した。「エッジをきかせた(先鋭的な)金融都市を目指したい」と述べ、規制緩和により、先物取引など金融派生商品(デリバティブ)に特化した新たな市場を形成することに意欲を示した。年内にも府市と経済団体などによる官民一体の準備組織を立ち上げる。

 吉村氏は、金融とITが融合したフィンテックなどの新技術を活用し「新たなマーケットを創造する」と主張。江戸時代の大阪が先物取引発祥の地とされ、デリバティブを扱う大阪取引所(大阪市中央区)がある利点に触れ「東京と異なる個性を持つ都市として、日本経済を牽引(けんいん)する」と強調した。金融機能の中枢を担う候補地に、大阪湾沿岸のベイエリアや大阪取引所がある北浜エリアを挙げた。

 年内に準備組織を立ち上げた後、来年3月までに政府の関係機関や金融機関などと官民一体の推進組織を設立。同年4月以降に国内外の金融関連事業者の誘致や人材育成にあたる方針。

 政府は世界の金融ハブ(拠点)をつくる「国際金融センター構想」を掲げている。大阪府は税制の優遇措置をはじめとする規制緩和を求め、金融分野の優秀な人材を国内外から呼び込むために府内の生活環境やインフラを整備する。

 一方、府市はこの日、それぞれ幹部会議を開き、9月に中間報告を行った府市一体の新たな成長戦略案を決定。経済分野の重点項目の一つとして「国際金融都市の実現」を明記した。意見公募などを通じて年内に取りまとめる。

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