2020/11/20

【ローランド・ベルガー】コンサルこそ、兼業を認めるべきだ

NewsPicks ジャーナリスト
総合系コンサルティング会社の巨大化や、戦略コンサル会社がデジタル企業を買収するなど、激変期のさなかにあるコンサル業界。そんな中で、独自路線を貫くコンサル企業がある。ローランド・ベルガーだ。
日本では中小企業と提携してEV(電気自動車)事業に参入するなど、戦略コンサルとしては型破りなビジネスに乗り出してきた。
そんなローランド・ベルガーはドイツに本社を置く、グローバル展開している戦略コンサルでは唯一の欧州系だ。
ドイツは勤勉さなどの国民性や、製造業が強い産業構造など、日本と似通う点が多いと言われる。そのため、日本の産業界は、GAFAのような米国IT系企業を追うのではなく、ドイツ企業を参考にすべきだという指摘もある。
実際、自動車ではフォルクスワーゲン、重電・重工ではシーメンス、基幹系システムでSAP、化学ではBASFやバイエルなど、各分野に世界トップのドイツ企業が存在する。
そんなドイツを代表する企業のコンサルを数多く手掛けるローランド・ベルガーの日本法人トップに、この4月に就任したのが、大橋譲氏だ。
米国生まれ・米国育ちの大橋氏は、米ヒューレット・パッカードなど米国IT企業を経験し、2003年にローランド・ベルガーに入社。
2008年に米系の戦略コンサルのブーズ・アンド・カンパニーに移籍した後、2012年にローランド・ベルガーにパートナーとして復帰した。
そんなユニークな経歴を持つ大橋氏に対し、米国系ではなく欧州系コンサルにしかできない価値提供はどこにあるのか直撃した。

ヨーロッパ流こそ参考になる

──2019年秋にローランド・ベルガー日本支社は、EV事業に参入しました。
我々は経営のコンサル会社なので、ものづくりそのものまではやりません。
従来の延長線上ではなく、新しい価値の提供が求められる時代に、単に戦略をレポートにまとめるだけではない、実際にものを作って実証試験できれば、お客さんにとってもイメージしやすいですよね。
だからこそ、「私たちと仕事すれば、ものづくりまで一貫してお手伝いできます」ということを示せないかという、試験的な取り組みです。
速度10km/h程度で走る、標準2人乗りの低速走行EV「バトラー(執事)カー」。高齢者や、徒歩や自転車で移動しにくい高低差のある地域での運用を想定している。
こうした活動ができるのは、ローランド・ベルガーが欧州系コンサルであることも一因ではないでしょうか。
欧州は単一の国ではなく、複数の国で構成される地域です。当社が本社を構えるドイツという経済大国もありますが、フランスやイタリアをはじめ、さまざまな国々で構成されています。
こうしたユニークな国が持つ歴史や文化をお互いに尊重する。それが欧州のDNAです。