[ワシントン 12日 ロイター] - 米労働省が12日に発表した11月7日までの週の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は、70万9000件と前週から4万8000件減少し、3月以来の水準に改善した。ただ、減少ペースは鈍っており、新型コロナウイルスの感染が再び急増する中、追加の経済対策も先送りされていることから、一段の改善は限定的となる恐れがある。

ロイターがまとめたエコノミスト予想は73万5000件だった。

足元の失業保険申請は、金融危機に見舞われた2007─09年に記録した66万5000件をなお上回っている。特にサービス業の需要が低迷しており、雇用主は労働者の削減を余儀なくされている。加えて、新たなコロナ感染が全国で爆発的に増加しているため、一時解雇の動きが加速してもおかしくない状況だ。

10月31日までの週の失業保険受給総数は678万6000件と、前週の722万2000件から減少した。

MUFG(ニューヨーク)のチーフエコノミスト、クリス・ラプキー氏は「雇用もインフレ率も十分でない中、議会は追加の経済対策に二の足を踏んでおり、単独で景気回復に乗り出そうとしている連邦準備理事会(FRB)にとっては気が気でない」と述べた。

多くの消費者は、規制がない場合でもバーやレストラン、ジムのような場所に行くことを控えている。コロナワクチンの予防効果を巡る最近のニュースは心強いものの、コロナ感染は再び増加しており、エコノミストは過度の楽観に警戒している。

PNCファイナンシャル(ピッツバーグ)のシニアエコノミスト、ビル・アダムス氏は「コロナ流行が制御されておらず、今後数週間から数カ月間の成長を大きく下押しするリスクがある」と指摘した。

調整前ベースの失業保険申請件数は2万0799人減の72万3105人。季節調整済みの数字は新型コロナの影響が加味されるため、エコノミストは調整前の数字に注目している。

自営業者や単発の仕事を請け負う「ギグワーカー」などに適用されるパンデミック失業支援(PUA)の申請件数を含めると、1週間で最低100万人が失業保険を申請した。

失業保険の受給期間を最長13週延長するパンデミック緊急失業補償(PEUC)の受給者は、24日までの1週間で前週から15万9776人増え、414万3000人と最高を記録。ただ、統計にはフロリダ州やジョージア州が含まれておらず、件数はさらに膨らむとみられている。

*内容を追加しました。