この連載について
教養を身につけたいけども、忙しすぎて学ぶ時間が取れない。一方で、日々のニュースだけでは、体系的な知識を得られない──。そんなビジネスパーソンに向けて、NewsPicks編集部が月ごとにテーマを設定し、専門家による解説記事をお届けする。週末のひとときで、手軽に「新書一冊分の知識」を体得してほしい。
この記事の著者 / 編集者
この連載の記事一覧

【森永】事業立ち上げを乗り越えた、本社を「巻き込む」力
NewsPicks編集部 364Picks

【帝人】100年企業の研究者が新規事業立ち上げで学んだこと
NewsPicks編集部 409Picks

【新規事業】僕が社内の「壁」を突破できた理由
NewsPicks編集部 475Picks

【新】大企業の新規事業はなぜうまくいかないのか
NewsPicks編集部 1433Picks

【提言】認知症の課題解決は、デザイナーの仕事だ
NewsPicks編集部 455Picks

【直言】認知機能を惑わす「デザインの敗北」とは
NewsPicks編集部 447Picks

【週末学び】「認知症のある人」は世界がどう見えているのか
NewsPicks編集部 519Picks

【新】デザインの視点から「認知症」の課題解決に挑む
NewsPicks編集部 732Picks

【論考】米国撤退後のアフガニスタン、未来はあるのか
NewsPicks編集部 243Picks

【根幹】ターリバーンを生んだ「難民問題」のいま
NewsPicks編集部 298Picks
なぜならば、「資本政策」があまりにも概念的にイメージが掴みづらく、またファイナンスや財務といった専門性の高い分野である(というイメージが強い)からに他なりません。
私はテクノロジー、ビジネス、ファイナンスの現場にいる機会を非常にラッキーなことに数多く頂戴しています。だからこそ、どうしてもそれぞれの分野が「分断」されてしまっており、有機的に結び付き、会社であるとかステークホルダー価値に活かしきれてないということを、長年歯痒い思いで感じてきました。
今回の連載を通じて、テクノロジーやビジネスの分野により所属し、ファイナンスから縁遠い方に、少しでも「資本政策」の重要性を理解いただければ、この「分断」が解消されるのではと期待しています。
日本はテクノロジーに大変強みを持った国でした。しかし今は、テクノロジーはコモディティ化し、単なる技術力だけでは世界と戦えない時代が到来しています。グローバルに通用する会社、社会を変革する産業を創出するには、テクノロジー、ビジネス、ファイナンスという「分断」の解消が不可欠だと思います。
ぜひ、今回の連載をご覧いただき、少しでも「資本政策」やファイナンス、スタートアップに興味を持っていただければ幸いです。第一回をご覧いただいてない方は、ぜひこちらの記事も併せてご覧ください。
<第一回目の記事>
【完全解説】ゼロからわかる、スタートアップの資金調達
https://newspicks.com/news/5368543
上場直前の企業は基本的には勢いがあり、ますます業績を伸ばせるポテンシャルがあるはずです。ですがこうなってくると、起業家は事業に集中できなくなります。
起業家のマインドは1番の経営資源ですから、起業家がステークホルダーの調整に時間を奪われるようになると、最悪の場合、事業自体が減速し始めます。」
起業家のマインドは1番の経営資源。
まったくその通りで。こんな光景はこの10年何回も目にしています。
それでもこの10年はよかった。
株高がずっと継続してきたからです。
上場時期が少々ずれでも上場出来た。
それが転換するのがこの後のポストコロナ。
コロナ禍が一服した後、大判振る舞いの過剰流動性の後始末が意識され始め、株高のトレンドが転換したらどうなるか。
今なら300億円、の提示Valuationは平気で半分以下になりえる。
そのときに上記のような調整時間は企業価値創出の逆回転に直結する。
投稿された内容は至極真っ当ですが、苦労してでも、土下座してでも、このあたりをゆうに超えていかないといずれにせよ社会は変えられない。
優秀なCFOがいるかにかかわらず、ベンチャー企業かにかかわらず、すべての企業が向き合う課題だと思います。
それに、スタートアップは、スタートからアップする、しているからスタートアップなわけで、多くは経営するために起業したのではなく、社会の課題を解決するために起業しており、資金調達はむしろ困難なの当たり前で、それも乗り越える壁です。
本稿を通じて、普通な思考になったら、いたって普通。
スタートアップは明らかにクレイジーで当たり前。
そういった見方もしながら、起業家の方には読んで欲しいなと思いました。
繰り返しですが、本稿はいたって至極真っ当です。
会社員の立場で働いていると、経営層に物申したくなる方も多いのではと思いますが、今回の原稿を読んで、スタートアップ起業家とはさまざまなステークホルダーの利害を調整するという、針に糸を通すような作業を何年間も、連続して行う存在なのだと理解しました。想像しただけで本当に大変な仕事で、だからこそそれに見合ったリターンを得られるのだと思います。
本文では事例やたとえ話もふんだんに盛り込みながら、スタートアップ経営者が直面する「ハードシングス」の正体について迫っています。皆さんもぜひ、身近な経営者の顔を思い浮かべながら、この難局を追体験いただければ幸いです。
上場したあとでも同じように会社や事業としての思想を発信し続けて株主を選ぶと言う発送はウォーレンバフェットも進めているコーポレートガバナンスのあるべき姿。
他方、相反する部分がありますが、どのくらい創業家が持分比率を維持できるか、というのも企業が50-100年存続していくために同じくらい重要。特にdual classとかが使いづらい日本ではなおさらです。
特に、弊社・日本資産運用基盤は、この10月頭にQUICK、SCSK、平和不動産という金融関連事業会社から資本調達を行ったばかりであり、その最終的な経営判断に至るまでの様々な試行錯誤等が思い出されましたし、結果として自社事業戦略にとってベストと自負できる資本政策を実現できたことを改めて嬉しく感じました。
日本でもスタートアップ業界のエコシステムが徐々に充実するにつれ、資本政策の策定や資金調達の実行に関する様々な知見・経験が共有されるようになっており、弊社のように新たに資金調達に取り組む「新興」スタートアップ企業も技術的な知見(How)に比較的容易にアクセスすることができるようになっていると認識しています。
一方、数多くあるスタートアップ企業の事業内容や提供サービス、強み・弱み、各種戦略資産等は各社各様であるように、資本政策のあり方もひとつとして同じものはなく、単に「●億円を調達しました」といっても、数字の裏に存在する経営判断や事業戦略の描き方は、どう最適化し、調整・実行し続けるかも含めて、まさに経営そのものだと実感します。その過程では、エコシステムで共有されている技術的な知見(How)は、当然ながら、あくまで基礎知識に過ぎず、個社の最適解を導くには十分ではあり得ません。
資本政策は企業価値に影響を及ぼさないというMM理論は完全市場という非現実を前提にしたフィクションに過ぎず、資本政策のあり方やそこでのステークホルダーとの連携が将来の企業価値を決定する。言い古されたことかもしれませんが、外部資本を調達したスタートアップ企業の経営者として、本論考を読み、そのことを改めて深く感じます。