2020/11/12

【初公開】ネイバー創業者、LINEと「検索の野望」を語る

岡 ゆづは
NewsPicks編集部 記者
グーグルだけが、正解じゃない──。
今、LINEが怪気炎を上げている。グーグルに匹敵する検索サービスを目指し、日本と韓国の精鋭メンバーを集めて、検索エンジンの開発を進めていることは、本特集で述べてきた通りだ。
グーグル一強の市場で、なぜあえて検索に挑むのか。その源流をさかのぼると、一人の人物にたどり着く。韓国の検索大手ネイバーの創業者イ・ヘジンだ。
そもそもLINEという会社は、イ・ヘジンが「世界に通用するサービスを作りたい」という思いから、2001年に日本拠点を立ち上げたことに始まる。
日本で2度、検索事業に挑戦するも失敗し、2013年に検索事業からは完全撤退した。
そうした中、LINEが2019年6月、再び検索サービスに参入することを宣言した。
実は、そのわずか9日前、「隠遁型経営者」との異名がつくほど露出が少ないことで有名なイ・ヘジンが、5年ぶりに公の場に姿を表している。
「インターネット20年史」を振り返るという韓国のシンポジウムに特別ゲストとして登場したイ・ヘジンの言葉は、日本ではほとんど報じられていない。
しかし、そこには「LINEがなぜ、検索サービスをやるのか」という問いへの答えが凝縮されている。
特集「LINE検索の野望」最終回では、LINEの検索構想を理解する上で重要な発言に的を絞って、彼がここで語った言葉を読み解いていく(全3回)。
*話した内容の順番を入れ替えるなどの編集をしています
イ・ヘジン NAVER創業者・GIO(グローバル・インベストメント・オフィサー)
1967年韓国生まれ。1992年に韓国科学技術院(KAIST)で修士号を取得後、サムスンSDSに入社。1999年にNAVER.com(現NAVER)設立。2012年からLINEの取締役会長も務める。

「情報競争力」をめぐる戦い

イ・ヘジン (1999年ごろに)私が検索エンジンを開発し始めたのは、エンジニアとしての使命感からです。
当時、検索エンジンという技術が世界的に現れ始めていました。英語の検索エンジンはとても良いものがあったのですが、ハングルでの検索に適した良いエンジンはなかった。
言語がうまく活用されないと、その言語はどんどん弱くなる。そうすると、その言語を使う人たちは、だんだん「情報競争力」が落ちてしまうのではないか。
それが、エンジニアとしての私の考えです。