[東京 10日 ロイター] - 10日午前の東京株式市場で、日経平均は前営業日比268円37銭高の2万5108円21銭となり、大幅続伸した。米国で新型コロナウイルス感染症ワクチンの治験で高い効果を示す結果が示されたことが好感され、幅広く物色された。円安も追い風となっている。日経平均は29年ぶりに2万5000円を回復。東証1部の売買代金は2兆0991億6700万円と前場段階で2兆円を超す大商いとなった。

9日の米国株式市場はダウ工業株30種とS&P総合500種が大幅上昇して取引を終了。新型コロナウイルス感染症ワクチンの後期臨床試験(治験)で高い効果を示す結果が報告され、全面的な経済活動再開への期待が高まった。ただ、いずれも終値ベースでの最高値は下回った。

米製薬大手ファイザー<PFE.N>は9日、独バイオ医薬ベンチャーのビオンテック<BNTX.O>と共同開発する新型コロナワクチンの治験で感染を防ぐ有効率が90%を超えたと発表した。

これを受けて日本株も大幅高でスタート。「新型コロナワクチンへの期待が現実味を帯びてきたことで株価全体の上昇に弾みがついた」(岡地証券・投資情報室長の森裕恭氏)という。ただ「株価は急ピッチで上昇したが、短期急騰で警戒感も生じており、いつ下がってもおかしくない」(岩井コスモ証券・投資情報センター長の林卓郎氏)との声も聞かれ、買い一巡後は伸び悩み、全般はこう着状態となった。

TOPIXは1.67%高で午前の取引を終了。東証33業種では、空運業が17%を超す大幅上昇となったほか、鉱業、保険業などの上昇が目立った。半面、その他製品と情報・通信業の2業種はマイナスとなった。

個別では、トヨタ自動車<7203.T>など輸出関連株がしっかりのほか、日本航空<9201.T>が急騰。一方、ソニー<6758.T>などこれまで相場をリードしてきた銘柄に安いものが目立つ。グロース株の動きが止まる半面、バリュー株が活況を呈するなど物色動向に変化がみられた。

東証1部の騰落数は、値上がりが1388銘柄、値下がりが727銘柄、変わらずが62銘柄だった。