[東京 10日 ロイター] - 日銀が10日発表した10月の貸出・預金動向によると、銀行・信金計の貸出平残は前年比6.2%増となった。2カ月連続で伸び率が縮小したものの、6%台の高い伸び率が継続。大企業で資金需要が一服する半面、中小・零細企業向けの実質無利子融資の伸びが続いている。

内訳をみると、業態ごとに伸び率の方向感が異なった。都銀等の貸出平残は6.7%増と前月の7.3%増から伸び率が縮小。地銀・第二地銀は5.2%増で、前月の5.3%増とほぼ変わらなかった。一方、信金は8.0%増となり、前月の7.8%増から一段と伸びて伸び率は過去最高を更新した。

貸出平残は銀行・信金計で573兆0341億円で今年2月以来の前月比減少となった。一方、地銀・第二地銀は266兆0854億円、信金は75兆3323億円でいずれも過去最高。

新型コロナウイルスの感染拡大に伴う先行き不透明感から、特に中小・零細企業向けの無利子・無担保融資の増勢が続いている。日銀の担当者は「政策的に用意されている限度額いっぱいまで実質無利子・無担保融資を利用している先はそこまで多くない。一部では追加的な資金調達の例もあると思うが、非常に幅広く広がっているとはみていない」と指摘する。ただ「年末・年度末にかけて実体経済がどう回復していくかで、大きく影響を受ける。引き続き注意が必要だ」と述べている。

10月の預金平残は都銀・地銀・第二地銀の3業態計で前年比9.0%増の792兆8973億円。伸び率、平残ともに過去最高となった前月分を下回ったが依然高水準となっている。

(和田崇彦)