ソフトバンクG孫社長、今後10年はAI投資集中-上場企業も魅力
日向貴彦-
9月末時点で31兆円の株式保有、純負債引いたNAVは27兆円
-
MBOの可能性「日々悩んでいる」、質疑応答で孫社長が発言
1日を始める前に押さえておきたい世界のニュースを毎朝お届け。ブルームバーグのニュースレターへの登録はこちら。
ソフトバンクグループの孫正義社長は9日、今後10年は人工知能(AI)関連企業への投資に集中する方針を示した。
孫社長は決算説明会で、「われわれは進化に対して投資していく。後戻りはない。次の10年間はAI投資会社になる」と述べ、ソフトバンクGの株主価値(NAV)が右肩上がりとなるグラフを示し、これまでのペースを大きく上回る規模でAI分野への投資を加速させることに意欲を見せた。
また、AI投資では「本命中の本命は上場会社の中にある」とも発言し、未公開企業のほか、上場企業にも今後積極的に投資していく考えを明らかにした。同社は7-9月期決算で、アマゾン・ドット・コムなど米国市場に上場する現物株に投資し、合計公正価値が168億ドル(約1兆7300億円)だったと発表している。
孫社長によると、ソフトバンクG全体では9月末時点で31兆円の株式を保有し、純負債4兆円を引いたNAVは27兆円。3月末時点から5兆6000億円増えた。同時に、保有する株式のうち非上場株の比率は8%、オプションなど派生商品(デリバティブ)の比率は1%であることを明らかにした。
説明会のプレゼンテーション資料では、4-9月期(上期)業績の説明をわずか2ページで終えた孫社長。ビジョン・ファンドの改善で過去最大の純損失を計上した前期(2020年3月期)からの改善基調が鮮明になったが、売上高や利益の数字に「私のこだわりはない」とし、唯一の「業績を計る物差しはNAV」だと話した。
同社が9日に発表した7-9月期(第2四半期)決算は、純利益が6275億円と前年同期の7002億円の赤字から大きく好転した。ビジョン・ファンドなどソフトバンク・インベストメント・アドバイザーズ(SBIA)の運営するファンドからの投資損益は1兆401億円の黒字だった(前年同期9437億円の赤字)。
ビジョンファンド2は「絶好調」
今回の決算では、ビジョン・ファンド2の運用状況が公表され、13銘柄を保有し、投資額26億ドルに対し公正価値は76億ドル。8月に米市場に上場した中国のオンライン不動産取引プラットフォーム企業、貝殻找房(ベイク、KEホールディングス)の株価上昇で5366億円の利益を計上した。
孫社長は会見で、「ビジョンファンド2は今絶好調。大きな利益を出している」と述べ、外部からの投資資金の流入に期待感を示した。
このほか、経営陣による買収(MBO)でソフトバンクGが非上場化される可能性を質疑応答で問われ、ノーコメントとしながらも「日々悩んでいる」と話した。
関連記事 |
---|