手取り15万円で実家暮らし。婚活を始めてみて半年、30歳になってわかったこと

29歳から30歳、ただひとつ年を重ねるだけなのに、なぜこんなに不安になるのでしょうか。実家暮らし、手取り15万円の30歳女性は、漠然とした不安を抱えて29歳から婚活を始めました。すぐに終わらせるつもりだった婚活も始めてから半年が過ぎ、30歳に。実際に30歳を迎えて変わったこと、変わらなかったことをうかがいました。

婚活アプリや結婚相談所では、どうしても相手を「年齢」「年収」「居住地」などの条件で絞ることになります。年代が変わると需要がある層も変わります。そんな理由から、20代のうちに婚活を始める女性が増えているのだそう。

29歳と30歳の婚活。このたった1年が、女性の幸せに大きな差を生むものなのでしょうか。

手取り15万円で始めた婚活。お金がないから結婚したいけれど…

松田あかりさん(仮名・29歳)は、現在婚活を始めて半年ほどになります。埼玉県から都内の会社に出勤し、事務員として働く彼女。なぜ彼女は29歳から婚活を始めたのでしょうか。

「生まれてからずっと実家暮らし。大学卒業後も手取りの少ない事務員として働き始めて、実家を出るきっかけがないままこの年齢になってしまいました。今の経済状況では、実家を出て暮らすには、誰かと同棲するしかありません。もともと結婚願望も強かったため、早く結婚したいと思っていたけれど、中小企業では思ったような出会いもありませんでした。長く付き合える彼氏にも出会えなかったので、早めに婚活を始めることにしたんです。

……とは言っても、本当に早い子は20代前半、24〜25歳くらいで婚活を始める子もいるので、それほど早い方というわけではないんです。現在は婚活系マッチングアプリと、ネットで安い結婚相談所に登録をしています」

松田さんの給料は、手取りで15万円前後。そこからスマホ代や実家に入れるお金などを差し引くと、自由に使えるお金はあまり残らないのだといいます。

「大手の結婚相談所は貯蓄のない私にはハードルが高く、窓口のないネットの結婚相談所などで、コスパよく婚活をしています。それでも、相手の好みに合わせた洋服を買ったり、デートの前にネイルサロンに行ったりとお金はかかります。実家住まいだからなんとかなっているけれど、一人暮らしだったら婚活すらできなかったかもと思います。

15万円の給料の中から、家に入れるお金は3万円。スマホ代が約1万円。結婚相談所などのアプリに月額2万円。生命保険料が約2万円。これだけでもう半分以上が消えてしまいます。デート代も多少かかるので、長く続けるのは痛いなあという感じです」

貯蓄がなく、家を出るために婚活しているものの、婚活のために給料をすり減らす日々なのだそう。

「30歳」になることが怖いわけじゃない。大台を迎えて思うこと

そんな松田さんも9月で30歳を迎えました。30歳になる前に、と始めた婚活が思いのほか難航して、ここまでいい人と出会えないまま30代に突入してしまいました。

「結婚相談所のコンシェルジュには、あまり時間をかけず探した方がいい、なんてアドバイスをされましたが、なかなか条件に合う人が見つからず、半年間ズルズル活動して30歳になってしまいました。

29歳の時は『男性は「〜29歳」で探す人も多いから、30歳になると需要が減る可能性はある』と説明されました。実際には特にその差を感じていません。私自身、30代になったからと言って何かが大きく変わるものではありませんし、アプリの年齢表記が30歳になったからといって、いいねの数がぐっと減る、という感じではありませんでした」

いつも通り、ひとつ年齢を重ねただけ。実際に迎えてみた30歳は、案外、特別なものではなかったといいます。でも、松田さんは29歳の時と同じように、漠然とした焦りや不安が残ったままです。

「でも先を考えると、やっぱり怖いです。30代なのに、年収300万円にも満たないこととか、このまま婚活にお金を浪費していくことが怖い。婚活をしている実感としては大きな差はないけれど、それも今だけなんじゃないかという恐怖があります。

29歳の時は、30歳を迎えることが怖かった。でも、本当に怖かったのは、30歳になることではなく、婚活していても、自分の将来が定まらないこと。この漠然とした不安定な未来が怖いのかも気づきました。

将来、自分がどうなっていくのか分からないのは怖い。結婚したいけれど、できないかもしれないことが怖い。30歳になることは、29歳の時に恐れていたほど深刻なことではなかったけれど、30歳になっても、29歳の時と同じように将来への不安が残ったままだということが怖い……。早くこの、結婚できる“かも”、できない“かも”という不安定な状態を脱したい。宙ぶらりんのまま、できるか分からない結婚に、お金を浪費していることが一番ツライのだと思います」

30歳の婚活は、29歳の時とあまり変わらなかったけれど、この変わらない「不安」を、抱え続けることは本当にツライこと。それこそが、29歳の時には見えてこなかったものの正体なのでしょうか。

1992年生まれ・フリーライター。広告業界で絵に書いたような体育会系営業を経験後、2017年からライター・編集として独立。週刊誌やWEBメディアに恋愛考察記事を寄稿。Twitterでは恋愛相談にも回答しています。
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