2020/11/10

【新】いま、LINEがやろうとしていること

岡 ゆづは
NewsPicks編集部 記者
2020年9月30日、人気サイト「NAVER(ネイバー)まとめ」が11年の歴史に幕を閉じ、サービスを終了した。
2009年にサービスを開始したNAVERまとめといえば、ユーザー同士が多種多様なトピックについて、ネット上の情報を整理整頓していきながら、それを一つの「読み物」としてまとめてくれる、というものだ。
メッセージアプリ「LINE」が誕生する以前、韓国ネイバー社の子会社ネイバージャパン(現LINE株式会社)が手掛けてきたユニークなサービスであり、様々なサイトから情報を集めて羅列する、「キュレーション」の草分け的な存在でもあった。
なぜ終了したのか。表向きはLINEは、グループ内事業の「選択と集中の結果」だと説明している。
サービス環境・市場環境の変化による単独サービスとしての今後の成長性や、LINEグループ全体での選択と集中の観点などをふまえて検討した結果、今回の決断に至りました

──NAVERまとめ公式ブログ(2020年7月1日付け)
5年前の2015年時点では、NAVERまとめとライブドアを合わせた、LINEの「ポータル広告」の売り上げは、全体の8%、広告売り上げの27%を占めていた。
これに陰りが出始めたのは、2016年頃のこと。きっかけは、DeNAが運営していた健康情報サイト、WELQ(ウェルク)の事件だ。
WELQでは、専門知識に乏しいライターがキュレーションする形態をとったため、間違った医療情報が多く載せられたり、著作権侵害の恐れなどが指摘されたりして、これが大問題になった。
2016年12月、謝罪会見を行うDeNAの南場会長ら(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)
DeNAはこの事件をきっかけにキュレーションメディア事業から撤退したが、影響はそれだけにとどまらなかった。キュレーション記事に対する世間の信頼が、大きく揺らいだのだ。
LINEにとって最大の打撃は、米グーグルの対応だった。キュレーションによるまとめ記事が、グーグル検索の上位に表示されることが問題視され、グーグルは2017年に日本語検索のアルゴリズムを変更。
これにより、キュレーションメディアが検索ヒットしにくくなると、NAVERまとめへのアクセスも減り、広告収入も徐々に減少してゆく。
広告売り上げに占める「NAVERまとめ」等の比率
2015 27%
2016 19%
2017 13%
2018 14%
2019 10%
もはやキュレーションメディア事業に高い成長は見込めず、LINEも撤退を決めた、ということなのだろう。
では、LINEが「次」に見定めて、集中するものとは何か。果たしてそれは、すでに見つかっているのか。
そのヒントは、NAVERまとめを担ってきたコアメンバーたちの、次なる動きに隠されている。