トランプ氏「敗北容認」準備の報道 訴訟不発なら 決着めぐり神経戦

 米大統領選でバイデン氏の勝利が報じられた後、ワシントンのホワイトハウスに戻るトランプ大統領=7日(ロイター)
 米大統領選でバイデン氏の勝利が報じられた後、ワシントンのホワイトハウスに戻るトランプ大統領=7日(ロイター)

 【ワシントン=塩原永久】米大統領選で民主党のバイデン前副大統領が勝利を確実にし、共和党のトランプ大統領の動向が焦点となっている。保守系米FOXニュースは8日までに、トランプ氏の法廷闘争が不発なら「敗北を認めて平和的な政権移行」を進める準備があると伝えた。バイデン陣営は月曜日から政権始動準備に入ると表明し、集計結果を認めないトランプ陣営を牽制(けんせい)する神経戦を演じている。

 FOXは関係者の話として、トランプ陣営が展開している法廷闘争に勝算がみえなければ、トランプ氏がバイデン氏勝利を認める可能性があると伝えた。

 米CNNも8日、トランプ氏の信頼が厚い娘婿のクシュナー上級顧問が、敗北を容認するようトランプ氏の説得に動き始めたとの情報筋の話を報じた。

 トランプ氏は、「全米で不正投票が横行した」としてバイデン氏当確の開票結果を認めず、東部ペンシルベニア州など接戦州で訴訟を続発。9日以降も各地で陣営が法的措置をとると表明している。

 一方、米メディアによると議会共和党はすでに、バイデン陣営と連絡をとりはじめ、政権交代後を見据えた準備に入った。

 トランプ氏は歴代現職大統領で最多となる7000万票超を得た。政権移行後も、共和党を含む政界で影響力を維持するとみられる中、訴訟戦の引き際がトランプ氏の評判に傷をつけるとの見方も出ている。

 バイデン氏は7日の勝利演説で、週明け9日に新型コロナウイルス対策を検討する専門家チームを編成すると表明。さっそく政権移行後の準備に動き出し、法廷闘争を拡大させる構えのトランプ氏の動きを封じる狙いもあるとみられる。

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