[東京 6日 ロイター] - 日本製鉄 <5401.T>は6日、2021年3月期(国際会計基準)の連結事業損益が従来予想の1200億円の赤字から600億円の赤字(前期は2844億円の赤字)に上方修正すると発表した。自動車向けを中心とした鋼材需要の回復が要因。

事業損益は、上期1065億円の赤字に対して、下期は465億円の黒字に転じる計画。

宮本勝弘副社長は会見で「自動車がかなり回復しているが、設備投資意欲は減退している」と述べた。設備投資に使う産業機械や工作機械向けや、中国や韓国に比べて競争力に劣る造船向けは苦戦しているという。

これまで開示していなかった純損益は1700億円の赤字(前期は4315億円の赤字)になる見通し。赤字は2期連続となる。

21年3月期の単独粗鋼生産は、従来計画の3180万トンから3270万トン程度に上方修正した。上期の稼働率は60―70%、下期は80%に高まる見通し。

需要回復にあわせ、一時休止中の君津第2高炉を11月下旬をめどに再稼働する。また、改修中の室蘭第2高炉も同時期に再稼働する計画。

上期末の薄板3品在庫は366万トン(前年上期末は445万トン)で、10年ぶりの低水準にあるという。こうしたことも踏まえ、今後の再稼働については「需要がどこまで戻るかを見ながら、順次、バンキング(一時休止)を解除していく」とした。

同社は、新型コロナウイルス感染症で鉄鋼需給構造の変化が加速し、さらに厳しい事業環境になることを前提に、必要な構造対策の前倒し・追加を検討するとしている。

温暖化対策としては、部門横断のゼロカーボン・スチール委員会を設置したことを明らかにし、脱炭素社会に向けた具体的なシナリオを20年度中に公表するとした。

(清水律子)