[東京 6日 ロイター] - ホンダ<7267.T>は6日、2021年3月期通期の連結業績予想を上方修正し、純利益を従来の1650億円から前年同期比14.4%減の3900億円に引き上げた。中国などの回復が想定を上回り、通期の販売計画を上方修正した。新型コロナウイルスの感染拡大によるマイナス影響は重しとなるが、費用節減・コストダウンが下支えする。

リフィニティブが集計したアナリスト17人の予測平均値2464億円を上回った。

倉石誠司副社長はオンライン会見で、中国の回復は4─6月期後半から見通せていたとする一方、「北米は見えていなかった。結果として想定を超える結果が出せた」と述べた。北米では4―6月にコロナ影響による生産休止で在庫不足となった反動が7―9月にあったと見られ、値下げ原資として販売店に払う販売奨励金も抑えられたという。

四輪車の世界販売の予想は460万台に10万台上方修正。このうちアジアは従来計画の212万台を220万5000台とし、日本は1万台上乗せの62万台とした。一方、北米は153万5000台で据え置いた。

中国ではコロナで落ち込んだ需要の回復局面で商品ラインアップをするなどし、「(7―9月期は)市場を上回る販売になった」(倉石副社長)という。通年では「新車効果も加え、前年度を超える販売を目指す」(同)とした。北米の自動車市場は前年の8割程度の1400万台を予測。下期は「市場並みの前年比を目指していきたい」(同)とした。

二輪車の販売計画は1480万台で据え置いた。コロナやインドネシアにおける融資引き締めの影響などを踏まえ、最大市場のアジアで見通しを引き下げた。一方、日米欧などその他の地域は予想を引き上げた。

通期の営業利益予想は従来の2000億円から同33.7%減の4200億円に上方修正した。倉石副社長は「コロナで市場の先行きは不透明だが、販売費・一般管理費の抑制やコストダウン努力を一層強化し、さらなる事業体質改善を目指す」と述べた。欧米でコロナの感染が再拡大しつつあるが、「現状では商売に大きく影響しているかというとそこまではいっていない」と語った。

研究開発費の計画は8200億円と従来予想から400億円引き下げたが、コロナ禍を契機に二輪・四輪ともに開発手法などの見直しを進めてきたとし「将来に向けての種まきについては計画通り進めている」と説明した。

米ゼネラル・モーターズ(GM)<GM.N>との協業については内容を議論をしている最中だとして詳細についての言及は控えたつつも、「電動化加速への対応の戦略として大きな効果を期待している」と述べた。

年間配当予想は従来の1株44円から68円(前年は112円)に上方修正した。前提為替レートは1ドル=106円のまま据え置いた。

7―9月期の営業損益は前年同期比28.5%増の2829億円だった。コロナによるマイナス影響を、経費節減やコストダウンがカバーした。4―6月期の営業赤字から一転、増益となった。4―9月期では同64.2%減の1692億円。

*内容を追加しました。

(平田紀之 編集:田中志保)