[シドニー 3日 ロイター] - オーストラリア準備銀行(中央銀行、RBA)のロウ総裁は3日、同中銀には必要に応じた追加の金融政策オプションがあると述べた。その上で、マイナス金利導入の可能性は依然として「極めて低い」との見解を示した。理事会後にシドニーでの講演で述べた。

豪中銀は3日の理事会で、政策金利のオフィシャルキャッシュレートを市場の予想通り0.25%から0.10%に引き下げた。国債買い入れについては、今後6カ月間、対象に期間が約5年から10年の国債を加え、1000億豪ドル(704億米ドル)規模を買い入れるとした。

ロウ総裁は講演で「金融政策は現在、短期金利に関してだけではない。量も重要になる状況だ」とし、「経済状況や、国債買い入れによる市場機能への影響を引き続き注意深く監視していく。追加措置が必要になれば、われわれは行動を取ることが可能であり、そうする」と表明した。

また、中銀は財政ファイナンスを行っていないとの見解を改めて示した。「われわれの措置は財政コストを押し下げている。住宅を購入する家計や事業拡大を目指す企業など、オーストラリア国内のあらゆる借り手の借り入れコストも押し下げていることに触れておくべきだろう」と述べ、「こうした全ての人の借り入れコスト押し下げにより、(新型コロナウイルスの)パンデミックからの景気回復が支援されている」と指摘した。

豪中銀は短期的な景気見通しを引き上げたが、中期的には人口の伸び鈍化など複数のマイナス要因を見込んでいる。

ロウ総裁は、現時点では高水準の失業が長期化することに伴うリスクが大きいと指摘。「われわれはパンデミックが豪経済に大きな打撃を与えたことを認識する必要がある。こうした打撃の修復には時間を要する。回復はまだら模様で長い時間がかかる可能性が高い」と述べた。