全然日本じゃなかった……英料理番組の「日本テーマ菓子」に総ツッコミ

pattyphotoart / Shutterstock.com

 パンやお菓子を作るのが大好きな素人が、毎週与えられる課題に沿って腕を競う、英公共放送チャンネル4の人気番組『ブリティッシュ・ベイクオフ』のジャパニーズ・ウィーク編が物議を醸している。テーマは日本のはずだったのに、ベーカーと呼ばれる挑戦者たちが披露したのは、日本を良く知る人なら首をかしげたくなるような品々だった。ネット上では「文化の無理解」「人種差別」といった批判まで出ている。

◆テーマ設定に難あり 珍作品続々
 この番組では、自分の得意なレシピで作るオリジナル・チャレンジ、審査員が提供するレシピと材料を使って作るテクニカル・チャレンジ、独自のレシピで技術や独創性を競うマスターピース・チャレンジの3つのカテゴリーで挑戦者が競う。ジャパニーズ・ウィーク編のそれぞれのカテゴリーのテーマは、「蒸し饅頭」「抹茶味のミルクレープ」「かわいい」だった。

 ところが番組が出したこれらのテーマが果たして日本的なのかという視聴者からの疑問が噴出した。まずネット上で、そもそも「蒸し饅頭」は中国料理ではないかという意見が出た。実際のところ、具にチャーシューを入れたり、饅頭にパンダの顔を描いたりした挑戦者がいた。実は英国版ヤフーニュースなどのメディアでは、日本は「平田バンズ」という蒸し饅頭で有名だと解説するものがあった。これはラーメン店一風堂のエグゼクティブシェフ平田正志氏考案メニューで、平たい饅頭に角煮などを挟んだオリジナルだという。ここから蒸し饅頭が日本料理という間違いが発生したようだ。

 二つ目の課題のミルクレープも、どう考えてもフランス菓子で日本のものではない。英エンタメサイト『デジタル・スパイ』によれば、ツイッター上では、抹茶を散らしただけで日本というのは乱暴だという意見も出ていた。

 最後の課題の「かわいい」は、この回最悪のテーマだったとインデペンデント紙は述べる。番組司会者は、「かわいいは日本文化に起源をもつスタイルだ」と述べたが、番組では単に「見た目キュートなケーキ」として理解されており、なぜ日本料理の伝統と繊細さが考慮されないテーマを選んだのかと疑問を呈している。

Text by 山川 真智子