[29日 ロイター] - ハリケーンの影響で操業を停止していた米メキシコ湾岸の石油・天然ガス施設では29日、労働者の職場復帰が始まったが、今年はハリケーンの多発で生産が繰り返し停止されており、エネルギー会社の業績にすでに悪影響が出ている。

米メキシコ湾には今年、名前の付いたハリケーン・熱帯低気圧が8個到来。多くのケースで、労働者の避難や一時的な操業停止を迫られた。

全米海洋産業協会のエリク・ミリト代表は「今年はハリケーンの数が多く、厳しい年となっている」と指摘。米メキシコ湾岸の今年末の石油生産は、年初の水準を日量20万バレル前後下回る可能性が高いとの見方を示した。

今週はハリケーン「ゼータ」の襲来により、メキシコ湾岸の生産が4日間で400万バレル縮小した。1日当たりでは石油生産が最大85%、天然ガス生産が58%停止された。 影響は、パイプラインや陸上の製油施設にも及んでおり、操業が可能な油田・ガス田でも生産が落ち込むケースが見られた。

米メキシコ湾岸の生産は、価格低迷を背景に7月に日量165万バレルに落ち込んでいたが、その後もハリケーンの到来で操業停止を迫られている。

米石油生産のヘス<HES.N>は、第4・四半期の生産が日量2万5000バレル減少すると予想。業績に悪影響が出る見通しだ。第3・四半期も、保守点検作業やハリケーンの到来により生産量が日量1万9000バレル減少していた。

W&Tオフショア<WTI.N>も、第4・四半期の石油・ガス生産がアナリスト予想を下回るとの見通しを示した。ハリケーンの襲来で石油プラットフォームに大きな被害が出たわけではないが、操業停止によりコストが約500万ドル増えたという。