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カートリッジ会社がキヤノン提訴へ 「仕様変更は違法」

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米田優人
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 インクカートリッジの仕様を変更してリサイクル品の販売を妨げたのは独占禁止法に違反するなどとして、リサイクル品を製造・販売する「エコリカ」(大阪市)が、大手精密機器メーカー「キヤノン」(東京)を相手取り、3千万円の損害賠償などを求める訴えを27日にも、大阪地裁に起こす。

 インクカートリッジは主に家庭用プリンターに装着するインクを収めた容器。原告側の代理人弁護士によると、インクカートリッジをめぐってリサイクル業者がメーカーを訴えるのは異例。インクカートリッジは年約2億個が流通するとされ、リサイクル業者とメーカー間の市場争奪に影響を与えそうだ。

 エコリカによれば、同社は2003年から、キヤノンなどのプリンターで使う使用済みインクカートリッジを家電量販店などから回収。カートリッジにインクを再注入して純正品より2~3割ほど安く販売してきた。現在5社のカートリッジをリサイクルし、インクカートリッジ市場全体でのシェアはキヤノンやエプソン、ブラザーに続き、業界4番手という。

 訴状によると、キヤノンは17年9月に発売したインクカートリッジでインク残量を表示するICチップの仕様を変更し、インクを再注入してもプリンター上で「インクなし」と表示されるようになり、リサイクル品を製造・販売できなくなったと主張する。

 さらに、この影響でキヤノンのプリンターで使えるインクカートリッジ市場では、キヤノンの純正品のシェアが同年12月の84%から今年9月には95%に上昇し、市場を独占していると指摘。仕様の変更は、独占禁止法が禁じる「競争者に対する取引妨害」にあたるなどと主張する。

 エコリカの宗広宗三社長は朝日新聞の取材に対し、「純正品しか使えない状態では競争がなくなり、自由な価格設定が可能となる。消費者にとってもリサイクル品か純正品かを選択する余地がなくなる」と話す。

 キヤノンは取材に「裁判については聞いていない」と回答した。(米田優人)

エコへの取り組み方の違い、争いに発展

 純正品か、リサイクル品か。

 使用済みインクカートリッジの仕様変更をめぐる訴訟の背景には、リサイクル市場の広がりがある。

 環境省が昨年6月にまとめた…

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