夫が複数回相談しても事件化せず、女性は死亡 佐賀県警

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 福岡県太宰府市で昨年10月、女性が暴行されて死亡し、遺体が遺棄された事件で、女性の家族が事件前、佐賀県警に複数回、女性の身の危険について相談していたことが捜査関係者への取材でわかった。佐賀県警は事件化せず、女性はその後、事件に巻き込まれた。佐賀県警は23日、当時の対応に問題がなかったか調査していることを明らかにした。

きょうも傍聴席にいます。

事件は世相を映します。傍聴席から「今」を見つめます。

 事件発覚は昨年10月20日早朝。太宰府市内の駐車場に止まっていた乗用車内で無職高畑(こうはた)瑠美さん(当時36)=同市青山1丁目=の遺体が見つかった。福岡県警の司法解剖によると死因は外傷性ショックで、全身に多数のあざや刺し傷があった。

 高畑さんの遺体を車に乗せて運んだとして、福岡県警は男女3人を死体遺棄の疑いで逮捕。3人のうち、高畑さんと同居していた無職山本美幸被告(41)と無職岸颯(つばさ)被告(25)が起訴された。山本被告の知人でトラック運転手の田中政樹被告(47)=同県筑後市上北島=も遺体の遺棄を指示したとして同容疑で逮捕、起訴された。

 その後の調べで、山本被告らは日常的に、木刀で高畑さんの尻を殴ったり、バタフライナイフで太ももを刺したりするなどの暴行を加え、抵抗できない心理状態に追い込んだうえ、親族や知人に金を無心させていたことが判明。山本、岸両被告は傷害致死と監禁の罪で起訴され、さらに山本被告は高畑さんや別の女性から計約250万円を脅し取ったとして恐喝の罪でも起訴。山本、田中両被告は、別の男性に対する恐喝未遂の罪で起訴された。

 福岡県警は調べを進める中で、高畑さんの夫が事件発覚前、高畑さんの実家に近い佐賀県警鳥栖署に複数回にわたり相談していたことを確認。捜査関係者によると、高畑さんが親族に数百万円を無心していたことや、その背後に山本被告らがいることを繰り返し署員に訴えていた。ほかにも、暴力団組員を名乗る田中被告から金を支払うよう電話で脅された内容を録音し、署に持ち込んでいたという。だが、鳥栖署は事件化しなかった。

 高畑さんの母親は朝日新聞の取材に、「(佐賀県警は)まともに取り合ってくれなかった。話を聞いてもらえたら、あんなことは起きなかったかもしれない」と無念さをにじませた。

 佐賀県警の鈴木知広警務部長は23日、定例会見で「ご遺族に対し心からお悔やみ申し上げる。現在事実確認をしており、調査結果については可能な限り早く明らかにしたい」と話した。

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