[22日 ロイター] - 米運輸省道路交通安全局(NHTSA)は22日、米電気自動車(EV)大手テスラ<TSLA.O>が配信を開始した自動運転用のソフトウエアを注視する方針を示し、国民を安全リスクから守る用意はできていると述べた。

テスラは20日夜、「完全自動運転」と呼ぶソフトウエアのベータ(テスト)版アップデートの配信を開始した。配信数は明らかにせず、受け取れるのは「専門家で、注意深い」ドライバーが対象とした。ソフトを受け取り喜ぶ人々が市街地を夜間、自動運転を行っている動画をオンラインで投稿している。

イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は21日、決算発表の電話会議で、このソフトのベータ版は年末までに広範に配信するとし、データ収集に努めた結果、システムはより堅牢になっていると説明した。

NHTSAは声明で「テスラの既存の運転者支援システムの拡張となる新機能については説明を受けてきた。NHTSAは新たなテクノロジーを注意深く監視し、安全を脅かす不当なリスクには国民を守るため直ちに措置を講じる」と述べた。

自動運転技術を手掛ける企業のコンソーシアム、PAVE(自動運転車教育のためのパートナー)はテスラのやり方を批判してきた。PAVEには米自動車大手フォード・モーター<F.N>、ゼネラル・モーターズ(GM)<GM.N>やグーグル<GOOGL.O>傘下の自動運転部門、ウェイモなどが加入している。PAVEは22日付の声明で「公道での試験は重大な責任をもって実行されるべきで、訓練を受けていない消費者にベータ版のソフトを検証させることは危険であり、既存のガイダンスと業界の規範に矛盾する」との見解を示した。

テスラはウェブサイトで、新たなソフトを「市街地で自動操縦」と説明し、このシステムでドライバーは、常にハンドルを握ったまま車両を監視し、いつでも運転を引き継げるようにしていることが求められるとしている。( https://www.tesla.com/support/autopilot )

ロイターは、NHTSAの声明についてテスラのコメントは得られなかった。