[ロンドン 21日 ロイター] - イングランド銀行(英中央銀行)のラムスデン副総裁は21日、マイナス金利政策について、銀行の融資能力を損なうリスクがあるとし、現時点では正しい景気刺激策ではないとの考えを示した。

ラムスデン副総裁はエコノミスト協会の年次会合で「マイナス金利政策の利用に適切な時期はあるが、今はそうした時期ではない」とし、現時点では資産買い入れの方が需要喚起に効果があるとの考えを示した。

その上で「銀行システムを通して経済に影響が波及する可能性がある。こうした影響はマイナス金利政策がもたらす景気刺激効果を減退させるだけでなく、逆効果になる恐れがある」と指摘。英国の銀行システムはユーロ圏とは異なるため、ユーロ圏でプラスの効果があったとしてもそのまま英国に適用できないとの考えを示した。

このほか、特に若年層の失業増の兆候と、新型コロナウイルス感染拡大で経済が受ける長期的な損害を懸念しているとし、「失業が長期にわたり高止まりする現実的なリスクが存在しており、このところ見られている所得の力強い増加は持続できない公算がある」と述べた。

ロイターが実施したエコノミスト調査では、英中銀が来月、資産買い入れ枠を1000億ポンド拡大し、8450億ポンドにすると予想。ただマイナス金利政策については、来年まで導入されないとの見方が示された。

英中銀によるマイナス金利導入については、これまでに金融政策委員会のテンレイロ委員とブリハ委員が支持を表明。ラムスデン副総裁のほか、ハルデーン理事はそれほど積極的な姿勢を示していない。