[シドニー 21日 ロイター] - オーストラリア連邦統計局が発表した9月の小売売上高は、暫定ベースで季節調整済み前月比1.5%減少した。

食品と家庭用品の販売が低調だったが、前年同期の水準は大きく上回っている。

8月の小売売上高は、ビクトリア州の新型コロナウイルス感染第2波を受けロックダウン(都市封鎖)が導入された影響で4%減少していた。

一方、7─9月期の小売売上高は前年比6.8%増加し、同期の国内総生産(GDP)を押し上げる見通し。小売売上高は4─6月期のGDPを0.6%ポイント押し下げていた。

AMPのエコノミスト、ダイアナ・マウシナ氏は「政府支給金による家計所得の増加が小売売上高を押し上げた」と指摘した。

豪経済が30年ぶり景気後退(リセッション)入りする中、政府は3月中旬以降、賃金補助や生活保護に数千億ドルを支出している。

豪中銀も政策金利を過去最低水準の0.25%に引き下げ、無制限の債券買い入れプログラムを実施。銀行向けに低利の資金供給を開始し、借り入れコストを低水準に維持するため金融市場に流動性を供給している。

中銀は11月3日の会合で政策金利を0.1%に引き下げ、債券買い入れプログラムの対象に長期債も加えて拡充すると見込まれている。

マウシナ氏は、8月と9月の小売売上高の減少について、ビクトリア州の行動規制の影響を反映していると指摘した。

一方、エコノミストや小売り各社は、ビクトリア州の行動制限緩和や年末商戦期の消費拡大に伴い、小売売上高は今後数カ月で増加すると予想している。

統計局は11月4日に9月小売売上高の最終値を発表する。

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