[20日 ロイター] - 米動画配信サービス大手ネットフリックスが20日発表した第3・四半期決算は、新規契約者数が市場予想を下回った。動画サービスの競争が激化したほか、新型コロナウイルス対策の封鎖措置の緩和による巣ごもり需要の後退やスポーツのテレビ中継再開が響いた。

同期は有料契約者数が世界全体で220万人増加。4年ぶりの低い伸びとなった。リフィニティブのアナリスト予想である340万人と会社予想を下回った。

ネットフリックスの株価は引け後の時間外取引で約6%急落した。

有料契約者数はコロナのパンデミック(世界的大流行)発生当初に急増し、1─3月は1580万人増となっていた。同社は行動制限の緩和に伴い、下半期は伸びが鈍化すると予告していた。

第4・四半期の新規契約者数は600万人になるとの見通しを示した。アナリスト予想の651万人を下回った。

1─9月の新規契約者数は2019年の全体数を上回ったと説明。第3・四半期末時点の世界全体の契約者数は1億9520万人だった。

リード・ヘイスティングス最高経営責任者(CEO)はアナリストとのインタビューで、「次回発表時には契約者数は2億人を超えるだろう」と述べ、過去最多の「3400万人の(新規)契約者で今年を終える」との見通しを示した。

同社は、年末までに150以上の作品の撮影を終える予定で、21年には毎四半期に20年よりも多くのオリジナル作品を発表する計画だと説明した。

第3・四半期の純利益は7億9000万ドル(1株当たり1.74ドル)で、前年同期の6億6520万ドル(同1.47ドル)から増加したが、1株利益はリフィニティブのIBESがまとめたアナリスト予想の2.14ドルを下回った。

売上高は22.7%増の64億4000万ドル。予想の63億8000万ドルをわずかに上回った。

調査会社イーマーケターのアナリスト、ロス・べネス氏は「米国内の契約者数はほぼ横ばいだった。これはネットフリックスの米国内での飽和状態を浮き彫りにしている」と分析。国内契約者の伸びが鈍化しているため、今後は値上げによって増収を確保することになるだろうとした。

同社は、ウォルト・ディズニーやAT&T傘下のワーナーメディアなどの映画スタジオ系が動画配信サービスの利用者獲得に注力する体制を整えたため、競争が激化したとしており、株主向け書簡で「利用者の時間やサービス利用を巡る競争はなお激しい」と指摘した。

また、ここ数カ月で主要なスポーツイベントが再開し、AT&Tの「HBOマックス」やコムキャストの「ピーコック」など目新しい動画配信サービスが視聴者に新たな選択肢を提供している。

ネットフリックスは今年の早い段階での契約者の急増が今回の決算に影響したと指摘。有料契約者の前四半期比の増加数は「インターネット・エンターテインメントの長期的な浸透においてそれほど意味がない」とし、サービスの向上とともに何年も大きく成長することが可能な分野だとの見解を示した。