インテル、SKハイニックスにメモリー売却 9500億円で
【シリコンバレー=佐藤浩実、ソウル=細川幸太郎】韓国半導体大手SKハイニックスと米インテルは20日、インテルの半導体メモリー事業をSKが買収すると発表した。買収額は約90億ドル(約9500億円)。SKは長期のデータ保存に使う「NAND型フラッシュメモリー」市場で首位サムスン電子に次ぐ2位に浮上する。
SKはデータを一時保存するDRAMでは2位に付けるものの、NANDでは5位と低迷していた。同6位のインテルを買収すれば、市場シェアで現在2位のキオクシアホールディングス(旧東芝メモリ)を抜く。SKはNAND強化を打ち出しており、キオクシアHDの上場後に約15%出資する契約を結んでいる。
SKは各国の独禁法当局の承認を得て2025年をメドに買収を完了する計画としている。ただインテルのNAND工場は中国・大連市にあり、半導体の国産化を推し進める中国政府の承認プロセスが難航する可能性もある。
売却側のインテルはパソコンやサーバーの頭脳にあたるCPU(中央演算処理装置)を主力とする。ソリッド・ステート・ドライブ(SSD)などのメモリー事業も限定的に手掛けてきた。メモリー製品を中心とする「NSG」と呼ぶ部門の売上高は19年に44億ドルで、インテル全体の6%を占めた。営業損益は12億ドルの赤字だった。
インテルはかねて撤退や他社との提携を通じたテコ入れを検討していた。同社は19年にも、高速通信規格「5G」のスマートフォン向け半導体事業を米アップルに売却した。主力のCPU事業をめぐる競争が激しさを増すなかで、不採算事業の見直しを進めている。
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