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疑似量子コンピュータで数百人規模のシフト作成 日立がWebアプリとして提供

» 2020年10月19日 12時55分 公開
[谷井将人ITmedia]

 日立製作所は10月19日、量子コンピュータを疑似的に再現した独自の計算技術「CMOSアニーリング」を活用して数百人規模の勤務シフトを作成するWebアプリ「勤務シフト最適化ソリューション」の提供を始めたと発表した。三井住友フィナンシャルグループのコールセンターで行った実験では、無駄な人員配置を約80%減らせたという。

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 CMOSアニーリングは半導体回路を使って量子コンピュータの一方式である「量子アニーリング」を模した計算を行う技術。大量にある組み合わせの中から最適解を導く「組み合わせ最適化問題」に特化している。ユーザーがWebアプリを通して必要人員の数、タスク、勤務状況などの条件を入力すると、条件に合わせたシフトを計算して提示する。計算は数十分で完了する。

photo CMOSアニーリングの基盤

 日立製作所はクライアントの過去の勤務状況や実際の運用を考慮して、シフトを組むに当たって必要になる条件などをカスタマイズして提供する。

 シフトの最適化により、無駄な人員配置によるコストの増加や人員不足によるサービス低下などを防げるとしている。三井住友フィナンシャルグループの数カ所のコールセンターで実際にシフトを作成する実験を行ったところ、人力で組んだ従来の勤務シフトに比べて無駄な人員配置を80%抑えられたという。シフト作成の作業自体も負担を軽減できるとしている。

 今後はCMOSアニーリングの開発を強化し、幅広い業種に対応できるよう展開する。シフト作成以外にも物流倉庫における集荷作業への活用などサービス拡大に向け取り組む。

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