2020/10/21

【直言】ジョブ型で実現する、「プロなら安心社会」

NewsPicks編集長
「ジョブ型導入」を打ち出す企業が増えている。バブル崩壊後に各社が競うように導入を試みた「成果主義」を彷彿とするブームのような様相を呈しているが、「ジョブ型」「メンバーシップ型」という言葉の名付け親であり、労働問題の第一人者である、労働政策研究・研修機構研究所長の濱口桂一郎氏は、目下の状況をどう見ているのか。
ジョブ型に関する理解や報道には誤解が多く、なかでも「ジョブ型は最先端の働き方である」という捉え方は逆で、世界的に見ると、ジョブ型はむしろ崩壊しつつあるという議論も出ているという。
また、ジョブ型導入を進める目的は、ミドル以上の社員の働きに応じた適正処遇(=成果主義の徹底)とする日本企業が多い。
だが、海外のジョブ型雇用におけるプロ職は、成果主義というよりも、同じ仕事、同じ給料で末長く働けるという安定性が得られるのが特徴だと、濱口氏はいう。
ジョブ型は100年ほど前にアメリカで始まり、そのあと世界中に広まった、いわば世界標準の働き方だ。
だが、日本は例外的に戦後から新卒一括採用のメンバーシップ型が当たり前になっている。そのため、特定の会社に入る「就社」ではなく、特定の職に就く「就職」がベースとなる世界標準のジョブ型雇用への理解がなかなか進まない。
特集「ジョブ型時代の働き方」3回目は、世界の労働政策を研究する濱口氏が、目下のジョブ型ブームの誤解を解き、実はシニアまで職が安定しやすくなるジョブ型雇用の真の姿、そして今後の日本の雇用の変化までを解説していく。

「ジョブ型は新しい」という誤解