すべての子どもがありのままで大人になれる社会の実現を目指し、D&Iに関する研修やキャリア支援をしているReBitは2020年9月〜10月、緊急アンケート調査「Z世代のダイバーシティ&インクルージョンと就職・就労」を実施。115名から回答を得ました。学生が67.8%、社会人29.6%でした。
「コロナ拡大前後で、働き方・キャリアに関する考え方に変化はありましたか」と聞いたところ、75.7%が「変化があった / やや変化があった」と答えました。
重視するようになった4つの条件
回答者の多くが、コロナ拡大前よりも「重要視するようになった」と答えた項目のうち、D&Iに関するものをまとめると、次の4つといえます。
1)柔軟な働き方
2)社員の多様性
3)個性の尊重
4)ワークライフバランス
柔軟な働き方については、「リモートワーク・時短勤務・休暇制度など、働き方の多様性をより重要視するようになった」(53.0%)が最多となりました。実態としても在宅勤務が多くなっていることなどからか、「ワークライフバランスをより重要視するようになった」(28.7%)との声もあがりました。
また「社員の多様性が高く、変化に柔軟な意思決定ができる組織で働きたいと思えるようになった」(36.6%)、「どんな状況でも社員一人ひとりを大切にしてくれる職場で働きたいと思うようになった」(28.7%)のように、多様な社員(ダイバーシティ)それぞれが尊重される(インクルージョン)職場を望むという人が多くいました。
具体的には、このような声があがっています。
「一人一人が自分らしく働くために、ダイバーシティはなくてはならない観点だと思う」(20歳・学生)
「個人の強み弱みを生かした職場環境で働きたい」 (22歳・その他)
「ハラスメントにノーを表明し、それを実践しようと努力している企業姿勢に共感する」 (24歳・社会人)
「社会の中にある企業、働くものとして、全ての人が生きやすい環境に貢献するような企業で働きたい」(22歳・学生)
この結果について、ReBit代表理事の藥師実芳さんはこう話します。
「コロナ禍において就職や勤続への不安が募り、D&Iどころではないという意見が多くなるかと思っていたのですが、働き方の可能性が広がったことからなのか、逆に多様性をより重視するという傾向になったのは印象的でした」
アンケートでも、回答した人の97.1%が「職場においてD&Iが推進されていることは、職業を選択する際や働き続けるうえで重要な要素だと思う」としていました。
一方で、D&Iに積極的に取り組む企業を知っているかどうかをたずねたところ、「10社以下しか知らない」と答えた人が89.1%にのぼりました。
「キャリアを制限することなく」
「私自身、トランスジェンダーで発達障害という2つのマイノリティ性があるのですが、それを自覚していなかった小学生のときから、こんな自分は将来、働けないのではないか、と不安に感じていました」
藥師さんは振り返ります。
「大人になって、いろいろな企業の取り組みを知り、多様なロールモデルに出会えたことで、自分も働けるんだ、と思えるようになったんです」
D&Iを推進していて多様な人が自由に働けている企業があることをもっと早く知っていたら、自分で自分のキャリアを制限することもなく、何をしたいかという思いを大事にして、将来の仕事について考えることができたのではないか。
藥師さんはそんな思いが原点にあり、2016年から毎年、ReBit主催によるキャリアフォーラムを実施。2019年からは、さまざまなマイノリティ性のある人や、そうでない人も含めすべての若者に向けて、D&I推進をテーマにしたキャリアフォーラム「RAINBOW CROSSING」を開いています。
2020年は10月17日から約1カ月間、企業のD&I推進の取り組みを知るオンライン講演会や、企業で働く多様な社会人、D&I推進担当者と交流できるミートアップなどが、すべてオンラインで実施されます。
イベントの詳細はこちらから。
(サムネイル : ReBit / BuzzFeed)