(ブルームバーグ): 三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は、石炭火力発電所向けプロジェクトファイナンスの貸出金残高を2040年度をめどにゼロとする見通しを示す。16日にも公表予定のサステナビリティーリポートで明示する方針だ。

情報が公でないとして匿名で語った関係者によると、MUFGが現在定めている石炭火力向けの投融資方針を実行すれば、同残高は30年度に19年度比で50%減、40年度をめどにゼロとなる見通し。企業の環境対応への取り組みに関心が強まる中、具体的な数値見通しを明示することで透明性を高める狙い。19年度末時点での残高は約35億ドル(約3700億円)だった。

MUFGは昨年、環境課題の解決に向けた基本方針「環境・社会ポリシーフレームワーク」で、新設の石炭火力発電所への投融資を「原則として実行しない」と発表している。同方針で示した当該国のエネルギー政策や事情を踏まえて個別に検討した上で投融資に取り組む場合があるとした特例は維持する。

石炭火力向けの融資を巡っては、みずほフィナンシャルグループが4月、新規建設のための投融資や資金の借り換えに応じないことでプロジェクトファイナンスの融資残高を50年度までにゼロにすると発表。その後、6月の株主総会で担当役員が、40年度には「おおむねゼロにできる」との見通しを示した。

三井住友フィナンシャルグループも40年度をめどに石炭火力向けプロジェクトファイナンスの貸出金残高をゼロにする目標を掲げており、国内3メガ銀行の足並みがそろった形となる。

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