大阪都構想を推進する吉村洋文・大阪府知事と松井一郎・大阪市長(写真:写真:つのだよしお/アフロ)

可決の可能性が高い大阪都構想

 今から2週間後に大阪都構想の是非を判断する2回目の住民投票がある。これは、大阪市民が大阪府に吸収されることを認めるかどうかの投票で、2015年5月に実施された前回の投票では、賛成69万4844票、反対70万5585票と、わずか1万741票差で否決された。

 前回から5年5か月たった今、推進派である大阪維新の会が再挑戦できるのは、2019年4月に実施された大阪府知事と大阪市長のダブル選挙に勝ったからだ。今回で決着をつけないとさすがに次はないだろう。松井市長も、これで負ければ市長任期を全うして引退すると言っている。

 今回は、前回反対だった公明党が賛成に回ったことに加えて、大阪万博の誘致成功やIR構想、国際金融都市構想などのプロジェクトが目白押しなこともあって、賛成多数で可決される可能性が高まっていると言われる。コロナ対応で吉村知事の露出が増えたことも大きな材料だ。

 大阪都構想の議論はイデオロギーの対立ではない。5年前と異なって、両者の争点は実はあまりない。その理由は、反対派が維持したい制度の大半は橋下市長時代からの9年間に作られたものであり、結局、反対派そのものは何も新しいのを生み出していないからだ。

 もちろん、二重行政の無駄をなくすことと、再編による追加負担の問題はあるが、反対派は大阪市に配分された予算を大阪府に取り上げられるのではないかと不安に感じている。大阪府と大阪市の予算と権限を巡る争い以外の何物でもない。

 また、二重行政の解消は人事ポストの減少も意味するので、既得権益を守りたい反対派にとっては自分たちの砦をかけた最後の攻防戦とも言える。

 その意味で、大阪都構想を再び住民投票まで持ってこれたこと自体が大きな成果だと言える。さらに、大阪都構想の成功で、他の主要都市でも同様の動きが出てくることが予想される。それこそが、日本の構造改革の流れを作ると考えられる。日本は、コロンブスが卵を割るタイミングを見られるかどうかの転換点にあると言っても過言ではないように思う。  

 本稿では、住民投票直前の今、優勢と言われる大阪都構想が可決される確率はどの程度なのか、また可決された場合の2025年までにやるべきこととは何かを、応用ゲーム理論を使って予想してみたい。