[ワシントン 13日 ロイター] - 米労働省が13日発表した9月の消費者物価指数(CPI、季節調整済み)は前月比0.2%上昇と、4カ月連続で伸びた。中古車やトラックが1969年以来の大幅な値上がりとなった。市場予想も0.2%上昇だった。

ただ米経済が新型コロナウイルスの危機がもたらした景気後退(リセッション)から徐々に持ち直す中で、労働市場のスラック(緩み)がみられ、物価上昇率は鈍化している。

CPIは8月に0.4%上昇。7月と6月はともに0.6%上昇した。

PNCのチーフエコノミスト、ガス・フォーシャー氏は「サプライチェーンの混乱が和らぎ、低調な需要や余剰能力が企業の価格決定力を抑制する中、物価は小幅な上昇にとどまっている」と指摘した。

9月は物価上昇圧力が緩やかだったが、金融政策に直接影響はしないとみられる。米連邦準備理事会(FRB)が経済再生に向け当面は政策金利をゼロ付近に維持し大量の資金供給を続ける見込みだ。

FRBの今の懸念事項は労働市場であり、柔軟な平均インフレ物価目標を掲げている。理論上、物価が目標の2%を長年下回った後、それを相殺するために一定期間、場合によっては数年間物価が目標を上回ることを容認する可能性があるということだ。

現在、最低2550万人が失業保険手当を受けている。

9月CPIの前年同月比は1.4%上昇。市場予想と一致した。8月は1.3%上昇していた。

変動の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数は前月比0.2%上昇した。8月は0.4%上昇していた。9月の前年同月比は8月と同様、1.7%上昇だった。

FRBが物価の目安としているコア個人消費支出(PCE)価格指数は8月に前年同月比1.6%上昇した。9月のコアPCE価格指数は今月下旬に発表される。

9月のCPIの前月比の内訳は、中古車・トラックが6.7%増と、1969年2月以来の大幅な伸びとなり、全体のCPIの上昇要因の大半を占めた。8月は5.4%上昇していた。新車も0.3%上昇した。

ガソリンは0.1%上昇。8月は2.0%上昇していた。食品は横ばい。8月は0.1%上昇だった。家庭用食品は0.4%下落し、3カ月連続でマイナスとなった。

失業者が多い中で賃貸の値上げが難しくなっており、住宅の物価上昇率は控えめだった。また、新型コロナのパンデミック(世界的大流行)により都会から郊外や人口の少ない地域へ人が移る中、いずれマンションの空き室が増え賃貸の値上がりが抑制される可能性がある。

帰属家賃は0.1%上昇。8月も0.1%上昇していた。娯楽は0.2%上昇。8月は0.7%上昇だった。一方、衣料は0.5%下落。前月までは3カ月連続で上昇していた。

自動車保険は3.5%下落。航空費は2.0%下落。医療費は横ばい。8月は0.1%上昇していた。

教育は0.3%下落。8月も0.3%下落し、比較可能な1993年以来初めてマイナスに転じた。多くの学校や大学はパンデミックの影響で授業をオンラインで実施している。

ウェルズ・ファーゴのシニアエコノミスト、サラ・ハウス氏は「サービス部門を中心に需要が総じて低調となる中、インフレ率がコロナ危機前を下回る水準にとどまると予想する」と述べた。

*内容を追加しました。