2020/10/14

【師弟対談】GO三浦が嶋浩一郎と語る「PRとクリエイティブの可能性」

広告業界で注目を集めるPR・クリエイティブディレクターのGO三浦崇宏。彼の博報堂時代の師匠とも言える嶋浩一郎(博報堂ケトル)と、PR、クリエイティブの未来を語り合った。
GO三浦氏の正体に迫ったドキュメンタリー(45分)はこちら

経営者が気にする2つのこと

 三浦が博報堂のPR局に来たのは入社何年目なんだっけ?
三浦 4年目の2011年に、PR戦略局に移動しました。
 三浦はPRの経験値ゼロでPR局に来たんだよね。でも面白かったでしょ? 
三浦 面白かったですね。
マーケティングを3、4年担当して、ちょっとできる気がしていたんですけど、PR局に行ってみたら、自分が全く市場の動かし方をわかっていないことに気づいて、すごく勉強になりました。
 マーケとPRはこれからの時代すごく相性がよくなると思うんだけど、やっていることは全然違うんだよね。
三浦 そうなんです。
しかも、できればマーケから入った方がいいと思っています。PRをやってからマーケにいくと、マーケがまどろっこしくなっちゃうと思うんですよ。
三浦崇宏/The Breakthrough Company GO 代表取締役 PR/CreativeDirector
2007年博報堂入社。TBWA\HAKUHODOを経て2017年独立、社会の変化と挑戦にコミットすることをテーマにThe Breakthrough Company GOを設立。 『表現を作るのではなく、現象を創るのが仕事』が信条。近書に『超クリエイティブ「発想」×「実装」で現実を動かす』がある。
マーケで企業の戦略を立てる筋道を習得した後に、メディアの人とリレーションを作るPRの技術や、世の中との関係で企業の成長を考えるというPR視点を学ぶという順番がいいんじゃないかと思っています。
嶋 結局のところ、経営者の気にする事は、「市場がどうなるか」というマーケティングの話と、「世論がどうなるか」の二つだと思うんです。
だから、この二つを一気に解決できる人が本当に重宝される。
嶋 浩一郎/博報堂ケトル クリエイティブディレクター
1993年博報堂入社。2002~04年博報堂刊「広告」編集長。2004年「本屋大賞」創設に参画。2006年「博報堂ケトル」を設立、多数の統合キャンペーンを実施。主な著書に『欲望する「ことば」~「社会記号」とマーケティング』など。カンヌクリエイティビティフェスティバル、ACC賞など多くの広告賞で審査員も務める。
その意味でもPRがわかっていることはすごく重要だよね。
しかも、PRは単にパブリシティをするということじゃなくて、世の中に「新しい合意形成を作る仕事」だと捉えてやるべきだと思います。
三浦 PRって、本質的には、社会とどうやったら握手できるかっていう仕事ですよね。
嶋 日本のPRパーソンって誤解を恐れずに言うとなんか地味なんだよね。
新しい概念とか新しい価値観を世の中に定着させるために、「その手があったか」というやり方を実現できるPRパーソンがもっと必要だよね。
三浦 PRって、メディアにプレスリリースを持っていく仕事だけではないですからね。
例えば、嶋さんが2004年に仕掛けた本屋大賞には、「本の価値は評論家ではなくて本を売る人たちが決めるんだ」という、大きい価値転換があって、その合意をもとに、生活者やメディアと握手していくという仕事ですよね。
その“価値転換”が発見できないと、本当にいいPRはできないと思います。PRってクリエイティブな仕事なんですよね。

CMが一番偉くて、PRはおまけだった