2020/10/14

【提言】農業経済学者が「菅政権」に求めたいこと

NewsPicks編集部
NewsPicks編集部
戦後から現在に至るまで、農業は他産業と異なる発展をしてきた。政府による市場への介入によって、制約を受けてきたのだ。
日本の農業を語る上で、政治は切っても切り離せず、時の政権によって農業政策が変わることも少なくない。
9月16日、菅新政権が誕生した。
安倍前政権は、経済政策として「アベノミクス3本の矢」を掲げ、規制緩和による農業改革に力を入れると強調していた。
安倍政権による改革は、どこまで進んだのだろうか。菅政権へ引き継がれた課題は何なのか。そもそも、日本の農業政策はどのような歴史をたどってきたのか。
農業経済学の第一人者である本間正義東京大学名誉教授の寄稿で、ポイントを解説する。
Topics
☑️巨大な「既得権益」の誕生
☑️農業保護が経済発展の足かせに
☑️支持基盤の「農協」をやり玉に
☑️政府と農協で交わされた「取引」
☑️保護からの脱却を目指したが…
☑️非合理な日本の農地制度
☑️「プロダクトアウト」では勝てない
☑️菅政権に求めたいこと

巨大な「既得権益」の誕生

かつて、農業政策は政治問題そのものであり、多くの人々の関心をさらっていた。その中でも、政治の影響を最も受けてきた作物の一つが、コメだ。
日本では戦時中から、食糧管理法の下、コメは政府への売り渡し義務が課され、価格は政策で決められていた。